実験
「まったく……。ボインスキーのヤツもいい加減にしろよな……」
夜。士官学校の授業を終えて学生寮にある自室に戻ったサイはうんざりとした顔でぼやいた。
サイが今名前をあげたのは、砲兵科の教室で彼の隣の生徒のことだ。ボインスキーは入学初日からサイを目の敵にしていて、今日も一日中血涙を流さんばかりの表情で睨み付けてきて、お陰で授業にあまり集中できずにいた。
訓練期間が三年ある軍学校に対して士官学校の訓練期間は一年しかない。その上サイはビアンカの代わりとして哨戒任務をアックア公国から依頼されていて、授業を受けれる回数が他の生徒よりも少ない。その貴重な授業を受けれる時間を邪魔するのは止めてほしかった。
「ボインスキー……あの豚ですか。マスターの邪魔をするなんて……始末しますか?」
「む? ボインスキー殿を始末するとマスター殿が喜んでくれるのですか? でしたら私が……」
「そうとは限りませんよ。不用意なことをすれば愛しのマスターだけでなく他の方々も哀しむ事になるかもしれません」
「それだったらむしろあのボインスキーさんと一度じっくり話し合ってはどうですか? 私としてはそちらの方がただ始末するより楽しそうですけど」
サイのぼやきにピオン、ヴィヴィアン、ヒルデ、ローゼの四人がそれぞれの意見を口にする。
サイとピオンを始めとする四人のホムンクルスの女性は同じ部屋で生活している。士官学校の学生寮は全て二人部屋で元々この部屋はサイとピオンの二人で使っていたのだが、ヴィヴィアンとヒルデにローゼが来てからは、一つのベッドにサイと二人のホムンクルスの女性が添い寝してもう一つのベッドに残った二人のホムンクルスの女性が寝る、そして時には今日の朝のように全員が一つのベッドで寝るという生活を送っていた。
なんという羨ましい学生ハーレム生活。サイがボインスキーに敵視される理由もまさにそれであり、彼がいつボインスキーのような嫉妬にかられた男子生徒に背中をメッタ刺しにされないか心配である。
「ボインスキーと話し合うか……。やってみるか」
「むぅ」
サイはとりあえず平和的なローゼの意見を採用することにして、自分の意見が採用されなかったピオンが可愛らしく頰を膨らました。
「そんな顔をするなよ、ピオン。それより始めるぞ」
『はい』
サイの言葉にピオン達四人のホムンクルスの女性が同時に返事をすると学生服を脱ぎ始めて、それを見たサイが驚いた声を上げる。
「なっ!? 何脱いでいるんだよ?」
「あら? これからマスターの疲れを癒す為にいつもより早く肌を重ねるのではないのですか?」
顔を赤くするサイに、服を脱ぐのを止めたピオンが首を傾げながら訊ねる。
「いや、違うから。俺が始めるって言ったのは例の『実験』の事だから」
「ああ、そちらの方ですか」
サイの言葉にピオンを始めとする四人のホムンクルスの女性達が納得した表情を浮かべる。
ピオン達四人のホムンクルスの女性は数日前に突然、本人達も知らなかった機能が使えるようになり、サイが言う実験とはそれの効果を確認するものであった。
「分かってくれたか? この間と同じ実験をするから机にある紙とペンを……」
「いえ、マスター。今日はいつもとは違う実験をしませんか?」
サイの言葉を遮ってピオンがそう提案する。
「いつもとは違う実験? 何をする気だ?」
「はい♪ まず私達四人の一人が後ろを向いて、残った三人のオッパイをマスターに触ってもらって、後ろを向いた一人がオッパイを触った順番を当てるというものです♪」
「何その素敵すぎる実験!?」
ピオンが提案した実験内容に思わず驚きよりも喜びの感情の方が強い声を上げるサイ・リューランという異名を持つ巨乳好きな馬鹿。
「マスターも乗り気なようでなによりです♪ それでは早速最初に実験する人を……」
「それは当然ピオンさんですね」
ピオンの言葉の途中でローゼが当然のように言う。
「はい!? な、何故?」
「何故って、こういうのは提案した本人達が最初にするものでしょう? ヴィヴィアンさんとヒルデさんもそう思いますよね」
ローゼは詰め寄ってくるピオンに答えるとヴィヴィアンとヒルデの方を見て、話を振られた二人はこれに縦に振った。
「ローゼさんの言う通りだと思います。ピオン、頑張ってください」
「私も同じですね。私も言った本人からすべきだと思います」
「~~~! 分かりましたよ! もう!」
ローゼだけでなくヴィヴィアンとヒルデにも言われてピオンは、ふてくされたようにベッドに向かってその上で横になりサイ達に背中を向けた。
「さあ、ピオンさんの準備も出来たみたいですし始めましょうか、マスター?」
「あ、ああ……」
ベッドの上でふて寝をするピオンの背中を見て妖艶な笑みを浮かべるローゼ。そんな彼女の言葉にに頷いて見せてサイは実験を始めた。
今サイの目の前にあるのはヴィヴィアンにヒルデ、そしてローゼといった絶世の美少女。しかも彼女達は先程まで服を脱ぎかけていた半裸の状態で、それを見て彼の中の情欲が高まるが、サイはそれを何とか抑えて愛撫をするのではなく実験をする為に彼女達の体へ手を伸ばす。
まずサイが触れる事にしたのはヴィヴィアンの右の乳房だった。万が一触れる音で誰の胸を触ったかピオンにバレないよう、ゆっくりと音を立てずに柔らかな乳房に触れる。
「……!」
サイがヴィヴィアンの乳房に触れた瞬間、ヴィヴィアンは思わず声を上げそうになったが両手で口を塞いでそれを阻止する。彼女の右の乳房の柔らかさを掌で堪能した後、サイは別の乳房を触る事にする。
「……♡」
次にサイが触ったのはローゼの左の乳房。触られたローゼは笑みを崩してはいなかったが、それでも頬を赤く染めて幸せそうな顔をしていた。
その後サイは続けてローゼの右の乳房、ヴィヴィアンの左の乳房と触り、触っていないのはヒルデだけとなったところで一つの悪戯を思いついてそれを実行した。
いよいよヒルデの番となったその時、サイは彼女の二つある乳房を同時に鷲掴みにしたのだ。
「ーーーーー!?」
いきなり両方の乳房を同時に鷲掴みにされたヒルデは、驚きと乳房を愛撫される感触に大声を出しそうになるが歯をくいしばって耐え、サイが乳房から手を離すと同時に床へたり込んだ。
「……ヴィヴィアンの右、ローゼの左、ローゼの右、ヴィヴィアンの左。そしてヒルデの両方」
ヴィヴィアン達三人の体を触り終えたところで、ベッドの上でこちらに背中を向けているピオンが不機嫌そうな声で、サイがヴィヴィアン達の体を触った順番を言う。そしてそれは見ていたかのように全て合っていた。
「正解。実験は成功のようだな」
ピオンが胸を触った順番を全て言い当てた事にサイは満足気に頷く。そんな青年にベッドの上でふて寝しているホムンクルスの少女は相変わらず不機嫌そうな声で話しかける。
「……マスター。今度は私の番ですからね? 私も皆のように愛してくださいよ?」
「分かっているよ、ピオン」
すねた表情で不機嫌そうに言うピオンにサイは苦笑をしながら答える。
その後サイは「実験」という名目でピオンの体を他の三人と同じくらい触ってその柔らかさを堪能し、その頃にはピオンの表情からは不機嫌さは消えてなくなっていた。
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