3-5
キティはジャックから離れた後、銃撃戦を続けていた。
規則正しく並べられた教会風の長椅子に身を隠しながら、隙を見せた相手を撃ち殺していく。
敵は中央で暴れるジャックに気を取られて、こちらに対する注意が散漫だった。素人のやるサッカーみたいに団子になって、目的のものを追いかけるだけ。役割も何もない一方的な戦いだった。束になっていれば安全だという意識が働くのだろうが、それは間違いだ。ジャックの馬力は普通の人間のそれとは比較にならない。寄ってくる人間を片っ端から殺していく、彼の周囲はスプラッタ映画のような惨状ができあがっていく。
集団から離れた男がこちらに向かって走ってくる。彼は両手で重そうな剣を振り回し、泡を吹いていた。キティは一発心臓を撃ったが男の勢いは止まらない。彼に続いて後続が来ているのも見える。
「クソっ、何かキメてやがるな」
冷静に後ろに下がりながら先頭の男の膝を、撃つ。
男は撃たれた膝から、前のめりに崩れて転んだ。
後続の男がそれに引っかかって、さらに転ぶ。
バランスを崩した男の頭を狙って撃った。
一人死んだのを見た後続が一瞬怯む。
その時間を使ってゆっくりと狙い、撃った。
二人目が死ぬ。糸が切れたみたいに倒れる男。
その後ろでライフルマンがこちらに狙いをつけているのが見えた。
そちらに狙いをつけようとしたところで、横から別の男が飛びかかってきた。
右から来た男を斜めに下がって、受け流し、股間を蹴り上げた。
体勢を崩した男の腕を捉えて、捻り上げながら、頭に銃を突きつけた。
腕を後ろで捻られた男はうめき声を出す。
「妙な事したらバンだぜ」
先程のライフルマンの射線を盾にした男で遮る。
人間の盾を使いながら、ライフルマンの方へとゆっくり近づく。
「ライフルを置きな、そしたらこいつを返してやる」
男はゆっくりと屈み、ライフルを置こうとした。
そのタイミングでキティは、盾にしていた男を突き飛ばす。
突き飛ばされた男がライフルの男にぶつかる。
キティはライフル男を撃った。
弾が切れた銃をホルスターに戻して、もう一丁を抜く。
「約束が違う」先ほどまで盾だった男が言った。
「別に殺さないとは言ってないだろ」
キティは新しい銃で、もう一人を撃った。
歩きながら、弾帯から弾を抜いて、銃に込める。
ジャックはどうなっただろうか、キティは礼拝堂の中央を見る。そこはもう随分と静かになっていて、彼とフリードマンの他に生きている人物は居なかった。
全身に血を浴びて真っ赤に染まったジャックと、白いスーツに染みひとつないフリードマン。対照的な二人が、死体の山に囲まれて立っている様子がキティの印象に残った。
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