69 希望を統べる剣

アリシャが、ケルのすべての闇を引き付けて、

そのスキに、カムイが剣を持って迫る。


「まさか・・!?」

ケルは気付く。


「闇を操っておる?!」

さっき光を感じなかったのも、アリシャが消えなかったのも、

闇属性へと、賢者の石で変化していたから。


「アリシャは優しい・・」

カムイも闇属性になっていた。


「だけど、僕は違う!・・!」

剣の取っ手に、賢者の石が付いている。


「今までやられた皆の仇だ!!!」

その剣はEnd66から創った剣。

世界の、殺意、狂気、を集め、賢者の石で、反転させると。

最高の希望の剣。となった。


「やめろ!!」

ケルは引く。カムイは迫る。


「助けてくれ!!」

言いながら、ケルは触手を背後に忍ばせる。しかし、


「もう遅いです」

アリシャの方へと、全ての闇は引っ張られて、使えない。


「・・国のために」

走って飛ぶカムイ。


「ひいいいい!!」

ケルは声を上げる。


「お前を倒す!!」


そして剣が振り下ろされた。


今まで沢山の罪も無い人々が犠牲になっていた。

 大人 女性 老人 子供。

容赦なく家族を奪い、残酷な実験をしては、殺して。

 被害者は、10万人に及んでいた。

心に傷を覆った者は、国民全員。


―――ケルはその報いを受ける時が来た。


「ッギャアアーーー!!!」

絶叫が響き渡る。

剣は顔に命中している。身体がひび割れていく。


「バカなアアああ!!」

顔が歪んで、崩れ落ちる。


「い・・いてええ!!」

顔を押さえる触手も、崩れていく。

ボロボロと、とめどなく。


剣を抜くカムイ。

隣にはアリシャが居る。


ケルは剥がれ落ちるように、裂けて、落ちては、

消えていく。


「オォギャアア!!!」

断末魔をあげて、煙と化しながら、ケルは完全に消失した。

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