50 錬金術師 レベッカ

・Scene レベッカ ・Please まどうビル最上階


 レベッカは長い時間、意識を失っていた。

ケルによって、空には再び闇が覆いそう。

ベリアル出現まで、間もない。


 もう町の民家にまで、闇は侵入している。

市民は、入り口を締め切っているが、闇には通じず、浸食されていく。

このまま行けば、どんどん市民の脳支配ドールへと繋がる。


―――――――


レベッカは夢を見ていた。

空に飛んでいる、輝く光の鳥。

キラキラと光って、飛んでいる。


「キレイ・・」

でも黒い雲が襲う。覆われ苦しそうな鳥。

レベッカは、(助けなきゃ!)と思う。


―――目覚めるレベッカ。

闇の中。身動きがほとんどできない。

やっとのことで、辺りを見ると、宙に浮く、4色の石。


「やらなくちゃ・・」

中心へ行って賢者の石。を創らなきゃ。

限界を超える闇の中、這っていくレベッカ。


「・・!?」

しかし空に、闇蟲ベリアルが、出現して、全く動けなくなるレベッカ。

さっきのように触手が襲う。


(ダメっ!)

目を瞑った時、西の空から、陽が昇る。


(えっ?)

空を見ると、光の鳥が、やってきた。

(シュア―――)と上空へと来る、光。

それは、ベリアルへと大きく影響を与える。

 

これはアリシャが、ポルゾイ軍の矢を光に、変えて飛ばした鳥。


ベリアルは、光りと干渉しあい、揺れると薄くなり、消えていく。

この前のアリシャの竜巻トルネードは、吹き飛ばすだけだったけど、

今回は、相殺しながら消えていく現象が、起きている。


「な・・なに?」

度重なる奇跡に不思議がりながらも、

レベッカは動けることに気付く。


「急がなきゃ!」

賢者の石、レベッカは急ぎ4つの石の中心に立ち、両掌を合わせて、錬金を開始する。


石の中央に立つと、それぞれから、

4色の光の帯がレベッカの手へ向かう。


そして、合わさる。粘土のように、

4色に色が混じり合う色彩を変える石。

それが数分続く。


「お願い・・!!」

レベッカは見つめる。手には、4色混じり合った石。がポトッと、出来る。


「これは?・・」

しかし、様子がおかしい。

レベッカが聞いてた、賢者の石とは違う。


何かが足りない気がするレベッカ。

その時、空の光の矢が目に入る。


「光・・希望」


光であり希望である、何かが必要。

賢者の石を使う意味。道を示さなきゃ。


「必要なのは、正しい道を示す、指導者」

父スイーダから聞いたことがある。

 今、闇に覆われた世界で、正しい道を示してくれる心が必要。それは、カムイ。


光の発生源を見つめるレベッカ。


「王子・・」

レベッカは会いたかった。

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