5 美少女の静粛

深夜。ここはアバランテ城、地下室。

地上の光も音も、届かない場所。


「ぎゃっ!」と悲鳴が響く。


豪華な部屋の、豪華な椅子に座るポルゾイ。

 手にはワイングラスと、剣。

前のテーブルには、大量の酒と料理が並ぶ。

そして、横に市民が1人、倒れている。

 

そこに、城下町の市民が、恐怖しながら、立っている。

カムイをおびき寄せるため、捕らえられた、人達。


「カムイを呼べ!」

と、突然叫ぶと、


(ガシャン!)

そこに立つ市民に、酒瓶を投げ飛ばす。


「痛い!」

倒れる男性を更に(ドカ!)と蹴飛ばす。


「お前らのせいだ!」

脈絡の無い事を言い、何度も蹴飛ばす。


「助けてカムイ様・・」

意識朦朧となって、男性は、つい口に出す。

市民は、カムイが王座を継ぐ、と信じていた。

しかし目の前に居る、犯罪者が、国王を継ぐなんて、悪夢だった。


「てめえ!?」

ポルゾイは、その言葉にキレる。


「お前ら、殺してやる!」

そして、そこに立つ、市民全員を、剣で斬り付ける。


その時、

(ピタッ!)

剣が宙で、勝手に止まる。


「なに!?」

驚くポルゾイ。


「なんてことを・・」

そこに居たのはアリシャ。


「だ・・誰だお前!?」


アリシャは、答えずに、屈みこみ、

怪我人や犠牲者に手を当て、魔法で回復している。


「?!」

それを見て、驚くポルゾイ。


「なぜ、この人たちを傷つけたんですか?」

と、立ち上がりながら聞くアリシャ。


ポルゾイは、かなり酒で酔っているため、

さっき剣が不自然に止まった事を、忘れていた。


「ぶ・・無礼者が!誰に口をきいてる!」

大声で言うと、アリシャを剣で斬りつける。


すると

(ガクンッ!)

剣は、アリシャの寸前で不自然に止まった。


「な・なんだと?!」

驚愕するポルゾイ。

手を剣から、離そうとするが、全く動けない。


(何が起こってる?!)

そのまま、アリシャは、治した人々を、黄色い光で包むと、


「平和へと逃げて」

と言い。(フッ)と、安全な場所へ、皆を魔法で逃がしてやる。


「・・き、貴様!あの時の女あ!?」

 ポルゾイは、今の魔法でアリシャを思い出した。

カムイの城を、消した時と同じ魔法。


その時(ガクン!)と急に動けるようになる。


「・・なんだ?!」

自分に何が起こってるのか解らない。


「私はアリシャ。あなたが、ポルゾイさん、ですね?」


(なんだこの女?)

ポルゾイは恐怖を感じた。

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