9話

 何の嫌がらせか神様がくれたスキルでやさぐれ始めた僕は、仕方なくステータスと念じる。



『卯月碧䒾(転生者・死に場所を探し求める者)

 

 男(※双成)

 

 6龍神に愛されし者・神々に愛されし者(クレアツィオーネの加護)

 

 スキル:同化Lv1・隠密Lv1・隠蔽・気配察知Lv1・想口紡変換・胃腸強化・俊足Lv1

 脱兎Lv1.5・痛覚無効・毒無効・麻痺無効・言語・異世界知識・薬草採集・毒草採集』



 え~っと、同化・隠密・気配察知・俊足のレベルはわかる。

 RPGゲームで遊んだことある人なら、普通にレベル上がったなぁって思うよ。

 思うけどさ・・・。

 脱兎のレベルが1.5って何???

 そこは、レベル2とかじゃないの?何で中途半端なの?ねぇ・・・


 僕、死ぬ場所探す前に血管切れて逝くんじゃないかなコレ・・・

 絶対、神様だけが使える水鏡とかで僕の行動と反応覗き見して遊んでるよね・・・


 一人ツッコミ入れてる僕は、辺りが静かになってることに気づき見回してみた。



「へ?なにこれ?? 」



 思わず声に出してしまった。

 見渡す限り息を吹き返したように大自然が、色鮮やかな花や木の実が宝石のように輝いて見えた。



「これ食べられる実かな?見た感じ美味しそう・・・」



 えっと、なになに・・・?



『サツキイチゴ:比較的低い場所に生っている甘酸っぱく小さくて赤い実。(暖かい気候に生る実で、日本の至るとこに生えている)』



 へぇ~、日本にあるんだ。僕みたことないかも・・・

 食べられるみたいだし、一つ食べてみよ。


 ポイッと口の中に放り込みパクッと咀嚼してみると、疲れた体を癒すように染み渡っていく。



「美味しい!もう少し食べても良いかな?」



 誰に言うでもなく言葉を紡ぐと樹々が枝同士を擦り合わせ葉をサワサワと鳴らし答えるように揺れた。

 死に場所を探して一人旅をしている僕の小さな楽しみが出来た気がした。



「ありがと」



 転生して初めて、僕は自然に笑った。


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