6.ARK826.02/止まるも地獄、進むも地獄

 夜半に寒さで、彼は目を覚ました。

 寒い筈だ。肩が出ている。彼はブランケットを重ねたシーツの中にしっかりと身体を入れ直す。時々あるのだ。この官邸の中には、暖房が効きにくくなる時が。

 ふと、自分を引き寄せる強い腕の感触を覚える。不意に動いたから、相手が気付いたのだろう。


「肩が冷たい」


 彼の肌に触れながら相手は訊ねる。テルミンは目を伏せた。


「寒いの?」


 そして相手は再び訊ねた。彼はうなづく。

 おそらく、自分の部屋の方が、暖房の効きはいい筈なのだ。それでも彼はこの時間、ここに居ることを望んでいる自分を知っている。そうせずには居られないのだ。

 スノウは、その名が意味する所と近いのか、寒さとか冷たさには鈍感なくらい平気な顔をしていた。

 帝都からの派遣員が一言当局に言えば、ものの半日も経たないうちに、暖房設備など直ってしまうはずなのに、この男はそんなこと気にもしていない様子で、冬期だというのに、時々切れる暖房を逆に面白がっている。


 テルミンは寒いのは好きではなかった。


 彼は元々、穏やかなものが好きなのだ、と自分では信じていたのだ。季節なら春か秋。確かに軍隊には属しているけど、順調な出世、順調な日々、職務を毎日きちんとこなして、それで時期が来たら、それなりの出世。そうすれば、郷里の家族も喜ぶだろう。いい女の子が居たら、家庭を持つのも悪くはない。できれば明るい女の子がいい。考え込む自分を笑い飛ばしてくれる様な。

 だが現実はどうだろう、とテルミンは思う。自分は好んでこの派遣員の腕の中に居るのだ。相手が好きかどうか、は彼自身よく判らなかった。だが、そうせずには居られなかったのだ。


「それで、君は、彼にもう話したのかい?」

「まだ……」


 語尾をぼかす。

 今日自分は何をしただろう――― 彼は半分伏せた目の向こうで、窓の向こうの光景を思い出す。官邸の庭で、ヘラに付き合わされて散歩をしている時に、窓の向こうで起きていたちょっとした光景。


 何なんだ、とヘラは花壇の柵の上にちょんと乗って、窓の向こうの様子を眺めていた。さあ、とテルミンはその時は答えた。ふうん、とヘラは巻き毛をいくつか肩の前に落としながら答えた。だが彼は知っていた。

 一人の官僚が罷免されたのだ。政府の中の役所は、通信相。内閣の中では、派手ではないが、重要なボストではある。

 その重要なポストについていた官僚のスキャンダルが、TV局のすっぱ抜きによって、大きく報じられた。

 これがただ単に、女遊びがばれたとか、公金の横流しとか、そういうことならさして問題は無かった。この場合問題にされたのは、そんな「よくあるスキャンダル」に帝都が絡んでいたからだ。

 通信相グルシンは帝都から援助を受け、その資金でもって私的通信網を星系外に作ろうとしていた、と報道は告げている。退官後、その私的通信網でもって新規の企業を起てるつもりだった、そのための根回しがどうの、調達資金の流れはどうの、エトセトラエトセトラ。

 退官後のポストを民間企業に確保しておこうという目論みはどんな省庁の人間にも当然の様にあることだった。それは無論、一般庶民には嫌なことには違いなかったが、しかし当たり前のことだった。清潔な政治家などない、とこの星系の人間達は思っているし、知っている。

 だからそれが問題にされたところで、退陣にまでは追い込まれることはないのだ。結局問題とされているのは、その時のために、私的に帝都政府の手を借りているということだった。

 グルシンの不運は、たまたま声をかけられたからと言って、帝都に本拠を持つ企業と手を結んでしまったことと、彼が通信相である、そのこと自体にあった。

 最初にその情報を手に入れた中央放送局は、大々的に特集番組を組んで、「この不正を許すことはできない」と訴えた。民間放送局は、通信省の管轄である。ここで不正を民間に訴えないことには、自分達の民間に対する信頼関係が崩れる、と感じたのであろう。そしてその読みは正しかった。

 この星系において、帝都は仮想敵である。それが存在することによって、一星系一政権である上の危険を多少なりとそも緩和していることをテルミンも知っていた。「戦争が無ければ革命がおこる」と言ったのは、過去の誰だったろう、と彼は思う。

 結果、グルシン通信相は退陣に追い込まれた。それは放送局のすっぱ抜きから大した時間では無かった。後がまには、通信副相を勤めていたボルゼルが座ることになった。


「気のいいおっさんだったのにね」


とヘラは事態の説明をテルミンから聞きながら、頬杖をつき、暢気な言葉を吐いた。

 官邸にやってくる官僚は大半、首相に青年の愛人が居るのは知っていた。グルシンはその中でもヘラと直接顔を合わせることのある珍しい官僚の一人だった。そしてヘラもそう嫌いでは無い、というこれまた珍しい人物でもあった。


「だってあのおっさん、そう賢くないもん」


 それがヘラの理由だった。そうは言ったところで、これで退陣してしまえばしまったで、ヘラは何の興味も無くすのだ。ただの通りすがりの人。そうこの人物は形容するのだ。


「俺馬鹿な奴って結構好きだよ」


 しかしとりあえずその時には、そんなことを、ひどく懐かしそうな口調で言うのだ。そしてその度に、テルミンはひどく胸が締め付けられる様な気分になる。

 テルミンはもうずっと、自覚していた。確かに、自分はこの首相の愛人に惹かれているのだ。その姿に、その声に、その態度に、その存在、そのものに。

 気付かせたのは、帝都からの派遣員だった。ほとんど荒療治と言っていい程に。


 だが派遣員は一つだけ見間違えていた。

 あの時。屋根裏の部屋から、彼が階下をのぞき込み、目撃した時に高まった性欲というのは、それは、ヘラ自身に向けられていたものではないのだ。

 ヘラが「そうされている」というシチュエーションに対して、自分はそう感じたのだ、と彼は気付いていた。


 それは衝撃だった。


 ヘラのことは、とても好きなのだ。この彼の置かれている事態に対し、ひどく憤りを覚えずにはいられない程、好きなのだ。その感情は止まらない。止められるものでは、ない、と彼は知っている。だが、それなのに、あの時自分がどうしようもなく高まってしまったのは。その理由は。

 それを考えるたび、彼はひどい自己嫌悪に襲われた。

 そしてもう一つの自己嫌悪が彼をまた、夜になると支配する。昼間はいい。自分のすることがどんなことであろうが、それは自分の納得づくのことであり、後悔はしない。

 たとえ通信相を陥れたのが自分であろうと!

 それは現在の彼にとって、そう難しいことではなかったのだ。


「上手く行ったようだね」

「グルシン通信相のこと? うん、俺も上手く行ったと思う」

「君ならできると思っていたよ」

「……そうだね」


 君ならできるよ、とこの男は何度あれから言っただろうか。

 そして自分はこの男とあれから何度同じ夜を過ごしているだろう。


「……もうじき言うよ。そうでないと、時間が経ってしまう」

「それがいい。私にできることなら協力しよう」

「ありがとう」


 自分の声が乾いているのを、テルミンは感じる。そして自分を大事そうに抱える相手の背に手を回す。夜中に目が覚める時は、自己嫌悪の闇が、夢すらも浸食しようとする時だった。

 そんな時には、何も考えずに眠りたかった。夢も見ずに眠ってしまえば、とりあえず明日が来ると、彼は思った。朝になれば、それでも自分は大丈夫なのだ。どんな相手を陥れようと、誰を利用しようと!


 放送局にその情報を持ち込んだのは、自分だった。先年の春に出会ったゾフィーの口利きで、時々彼は私服で中央放送局に出入りしていた。その時に、何気なく、ひどくさりげなく、ニュースセンターへの投書の中に、彼がよく知っている事実を入れておいた分なのだ。

 グルシン通信相は抗弁した。自分は誘われたのだ、と。確かに自分の老後の安心も考えたが、それ以上に、その新しくできるだろう通信網が、レーゲンボーゲンのためになるから、と勧められ、自分はそれを信じてしまったのだ、と。

 そのあたりが馬鹿なのだ、とテルミンは昼間は思う。何せそのグルシンを誘った帝都の企業は、スノウの口利きで動いているのだから。

 額から指先までゆっくりと、濃厚に執拗に動き回るスノウの指に唇に、ぼんやりとしてくる頭の中で、ヘラの姿が横切る。それは昼間の光の中、ゆらゆらと巻き毛を揺らせて花壇を歩く姿ではない。


 あれからも時々…… つい見てしまった、寝台の上で乱れさせられるヘラの姿だった。嫌で嫌でたまらない、という表情を露骨に浮かべて、それでも何を考えているのか、逆らうこともせず、何か遠くを見ている、そんな姿だった。


 その理由を知りたかった。

 何処を見ているのか、知りたかった。

 ヘラに関するある「事実」はテルミンは既に知っていた。だけどそれだけでは「理由」にならない。

 彼はそれをヘラ自身の口から聞きたかった。

 ああ、と押さえきれない声を上げながら、全身を襲う、どうにもならない程の感覚が、自己嫌悪の感情を踏みつぶしてしまう瞬間を彼は待っていた。そしてこの男は、それをその通りにしてくれる。自分の身体がばらばらになってしまう様な気分に。時には、自分の心が身体を離れて何処かへ行ってしまうかと思えるくらいに。

 それから自分が、既に離れられないのを彼は知っていた。

 穏やかな生活を、したかった。だができない。彼は目を伏せる。口元が笑っているのが判る。

 自分にはその資格はないのだ。



「顔色、良くないな」


 久しぶりに会った一つ年上の友人は、彼に言った。そうかな、とテルミンは問い返す。


「そうだよ。何か無理してるんじゃないか? よく食って、よく寝てる?」


 そう言って、ケンネルはフォークにゆでたソーセージを差す。ぷつ、といい音が耳に飛び込む。


「俺さあ、このソーセージの、口に入れた時、汁がきゅーっとにじみ出てくるのがすげえ好き」

「うん俺も。何かすごい久しぶりって感じがするな」

「何言ってんの、いい食事はしてるんでしょ?」

「食事はね。よくあのひとがつきあえって言うから」


 実際そうだった。昼の食事はここのところずっと、テルミンはヘラに付き合わされていた。メニューはだから、良いものである。ヘラは同じものを食え、と強要する。味はいい。だがだからと言って、気持ちよく食べられるかと言えば、話は別である。


「何か味なんか判らなくなるよ」

「何、それ、その綺麗な人前にしちゃ、ってこと?」

「そうじゃなくてさ……」


 テルミンは言葉を濁した。そうではないのだ。


「何か歯切れ悪いなあ。ま、疲れてるんだよきっと。ちゃんと寝ろよ?」


 うん、とテルミンはうなづき、微かな苦笑を浮かべる。とりあえず疲れている暇は無いのだ。


「ところで最近、先輩仕事どう?」


 話の矛先を変えてみる。


「仕事? うーん…… まあまあだね」

「まあまあ? 合わないの?」

「んにゃ、ちょっと俺の専門からはずれるんだけどさ、それはそれで楽しいと思うのよ」

「先輩の専門って何だっけ」


 そう言えば、とテルミンは訊ねる。以前にちゃんと聞いた様な気はするのだが。


「何、忘れたの? お前薄情だなあ…… 俺の専門って、エネルギー工学じゃん」

「エネルギー工学?」

「いつだって何処だって、生活のための発電やら動力やらのエネルギーは必要だし、それを如何にしてローコストでしかも環境破壊は最低限にしてやるか、っていうのが俺の学校ん時の専門だったじゃない」

「そうだっけ…… 何か先輩って、士官学校の時は、生物学教室やら物理学教室に入り浸っていたって印象が」

「それは趣味」

「趣味?」


 テルミンは言葉の端を露骨に上げた。


「そう趣味。あいにく俺優秀なんで、色んなこと好きで手ぇ出してるの」

「……自分で優秀って言う……? 先輩」

「じゃお前違うって言える?」

「……言えないけど」


 確かにそうなのだ。他の部分はともかく、この一年上の友人は、とにかく理系と名がつくもの全てに精通していたと言ってもいい。


「俺はカンがいいの。こうゆう分野に関して。だから、基本を昔これでもかと叩き込んだ時に、応用の効かせかたってのがぴんと来ちまったんだ」

「だけどエネルギー工学と物理学と生物学の接点が俺には判らないよ……」

「それを言うなら、テルミン、お前の趣味だって俺には判らないって」

「俺が一体何なの」

「いやまあ、だから、俺は文学ってのはさっぱり判らないし、おまけに社会学ってのもさっぱり判らないんだよ」

「ああ…… そういうこと。ま、でもこれだって応用だし」

「でも曖昧さが多いだろ?」


 ケンネルはフォークを目の前に立てる。


「俺は俺の分野に関しては、どんなジャンルにしても、何処までを機械の手に任せていいのか知ってる。俺の選択肢はそう多い訳じゃあない」


 もっともそのレベルに至るのは、そういない筈なのだが、とテルミンは思うが黙っている。


「それに俺は、そんな俺の研究で得たものを、現実にどう扱っていいのか、正直言ってさっぱり判らない」

「そう?」

「そう。俺は研究の過程が好きで、そこで起きる色んなことが好きで、結果は結果に過ぎないの。だからその結果をどう使われようと知ったことじゃない訳よ。それは俺の考えることじゃないの。たださあ」

「ただ?」

「軍隊に属していて何だけど、あまり兵器にされるのは好きじゃないね、と思うよ」

「確かに軍人らしくはないね」


 テルミンは素直にうなづいた。そしてそう考えるケンネルがひどく不思議に思われた。


「それで、忙しかったの?」

「それもあり。ちょっと最近ややこしい研究を依頼されてさ」

「ややこしい研究?」


 すっ、とケンネルはナプキンを一枚抜くと、ポケットのペンでその上にさらさらと二行の単語の連なりを書いた。ああ、とテルミンはうなづいた。


「……それは結構大変だね。どっちのテーマも。で先輩どっちに関わってるの?」

「どっちにも一応今、足突っ込んでる」

「そういうこと、できるんだ」

「だから俺は優秀だって言ったでしょ? ……とにかく、何でか知らないけど、一つ目のほうは、昔から挑戦する者は居たのに、ことごとく失敗している。だから皆、そんなややこしいことをするよりは、メカニクルの方に手を出したがる。その方が、とりあえず対応も早いし、利益も出せる」

「民間だったらそうだよね」

「民間でなくたってそうじゃないかなあ?」

「まあね。メカニクルより生身の人間のほうが、トータルコストとしてはかかる。何かあったら補償が要る。補償が必要でない境遇の者であったとしても、現在では帝都人権保護法がある」


 テルミンはそう言いながら苦笑する。彼は帝都政府が前身の軍時代に行ってきたことを歴史から学んでいた。人権保護法とは笑わせる、と思っていた。


「ま、とにかくそれなのに、だ。ちゃんと、使えるものを作れる様に、という。それが一つ。そう一つの方は、それこそ、俺には判らない分野の話が絡んでる」

「と言うと?」


 ケンネルの目が真面目なものになる。


「お前、パンコンガン鉱石って知ってる?」


 名前くらいは、とテルミンは答えた。

 ただそれは自分で得た知識ではない。スノウから聞いたものだった。この星系の特産物で、アルクには無く、ライでしか採石されないものである。少量でもいいが、決してそれを帝都へ納めることは欠かしてはならない、というものらしい。もっとも何故か、と聞いたら、それにはスノウは答えなかったが。


「つまり、あれなんだよ」

「その鉱石?」

「確かにこっちからは採石して流すけど、じゃあ何でそうするのか、こっちには判らない。判らないけどとにかくあるから、ライに送られた囚人達に採石させて、それを帝都へ送っている。現在はそれだけだ。だけど帝都がそれを必要とするなら、それは何らかの意味があるはずなんだ」

「だからそれを?」


 ケンネルはうなづいた。そして付け加える。


「だけどそれ以上のことは、俺の考える範疇じゃない」


 なるほど、とテルミンは思った。ケンネルは判らない訳ではないのだ。関わりたくないのだろう、と彼は気付いた。


「ああ、そんな話してるから料理が冷めてしまったじゃないかっ!」


 ケンネルは不意に声を高める。その話は終わりだ、という合図だった。そうだな、と彼もまた思う。食事を美味しく摂れる時には、摂っておかなくてはならないのだ。



 そしてその翌日には、また別の知り合いと、彼は夕食を摂っていた。


「あー忙しい忙しい。何だってこんな忙しいのっ」


 ゾフィーは約束した時間の約束した席に着くやいなや、がさがさと大きなバッグからタオルを出すと汗を拭いた。


「走ってきたの? 君」

「だって地下鉄が混んでて、前の奴に乗れなかったのよ。だから一本遅らせて、ここまで走ってきたんだから。ああ暑い」


 そう言いながら彼女はまた汗を拭く。

 確かにすごい汗だ、とテルミンは目を見張る。だらだらと流れているのだ。士官学校の訓練の時にはよく見た光景だが、女性で、街中を行く女性がそういう風にだらだらと汗を流すのは見たことが無い様な気がする。


「何? 何かおかしい?」


 彼女は眉を寄せ、顔を少し赤らめる。それを見てテルミンは何となく微笑ましくなり、思わず笑みを浮かべた。


「いや、相変わらず元気だなあ、と思って」

「あたしは元気よ。少佐こそ、元気だった? ちゃんと食べてる?」

「昨日会った友人にも、そう言われたよ、大丈夫ちゃんと食べてるって」

「だったらいいけど」

「それより、急に何?」


 彼はテーブルに最初の皿が来ると同時に質問を投げかけた。ゾフィーはまだ時々水を口にしている。よほど喉が乾いていたのだろう。その具合を見計らいながら、テルミンは訊ねる。


「うん、実はね、今度一つ番組の企画を任されたの」

「ええっ! それすごい、大抜擢じゃない」

「そうなのよ! まあ最近ずいぶん、中央放送局からも抜けたし…… そのせいと言っちゃおしまいなんだけどね」


 タオルを握りしめて力説する彼女に、テルミンは笑みを浮かべたまま黙る。

 先日のグルシンの失脚には中央放送局の力が大きかった。またその一方で彼と癒着していた放送局のスタッフが何人か罷免された。特にそれは、番組制作に当たる者が多かった。

 結果、使えるスタッフの不足から、企画補佐をしていた彼女に白羽の矢が当たったのだろう。そう彼は推測する。


「でも、良かったじゃない。本当、おめでとう」

「ありがと。うん、だから、今日はあたしのおごり」

「そんな! お祝いなんだから、俺がおごるよ。少なくとも俺の方が収入多いし」

「そういう問題じゃないでしょ! じゃこうしましょ。あなたの分はあたしが払う。あたしの分はあなたが払う」

「オーケー」


 彼は苦笑しながらも同意する。それ以上は彼女も引かないだろう。

 ゾフィーとはあの図書館で出会って以来、ずっと友達つき合いが続いている。

 友達、である。決してそれ以上ではない。

 彼女は彼女で、どうもテルミンに対して男と付き合っているという感覚が無いらしいし、テルミンはテルミンで、彼女を女友達としてしか見られなかった。

 もっとも周囲の目はそうではない。

 彼の上司のアンハルト大佐は、一度外で二人で会った所を目撃したらしく、ある朝出勤したら、結構楽しそうな表情でからかわれたこともある。

 テルミンはそれには否定も肯定もしなかった。こういう関係もあっていいと思う。だがその説明をいちいちするのは煩わしかったし、彼女の存在は、自分のヘラへの感情や、スノウとの関係の隠れみのにするにはちょうど良かった。


「でも最近、君本当忙しそうだね。なかなか通信つながらないし。その番組制作だけ?」

「あ、つながらないの?」


 ゾフィーは慌てて自分の小型端末を取り出す。


「あ、やだ。ずっと局内モードにしてあったわ」

「局内モード?」

「うん。これね、放送屋用のものだから、局内モードにすると、局内の生番組と直接話ができて放送できる様になってるの」

「ん? それって別に珍しくないんじゃない?」

「マイクじゃあないでしょ? いつでも何処でも、これが簡単なマイクとカメラ代わりになるのよ」

「へえ……」


 感心したように彼は言い、見せて、と手を伸ばす。壊さないでよ、と彼女は念を押す。高いんだから、と。


「無論こんな小さいから、ややこしいことはできないけどね。だからそうね、水晶街とか、あのクーデター犯人の…… のところなんかに役だったみたい」

「あ、あれって、ニュースには流れたんだよね?」


 テルミンは訊ねた。彼はあの時現場に居たので、それがニュースで生で流れたのかどうか、は知らなかった。


「ええ。あたしじゃないけど、他のスタッフが撮っていたはずよ。ただ、一応ああいう光景は協定で、残さないことなってるんだけど」

「なってるけど?」

「一般家庭にまで残すな、なんて強要できないじゃない。だからそれを逆手にとって、残しているスタッフも居るはずよ」

「ねえゾフィー、それ、俺見たいな」

 

 ゾフィーは怪訝そうな顔になったが、すぐにいいわよ、と答えた。


「ただしあたしの言うことも一つ聞いてくれない?」

「何? 俺にできることだったら」

「水晶街の逮捕者の顔と行き先」

「……あ」

「どうしても、行き先が見つからないのよ」

「君の、バーミリオン?」

「あたしの、じゃないわよ」


 言葉が少しばかり止まる。

 彼らの前に、盛られた長いパスタの皿が置かれ、ソースの容器がまた別に置かれた。彼女はそこからくるくると器用にパスタを取ると、ソースを絡めた。彼もまた、料理を取り分ける。茄子と挽肉の入ったソースは、ややびりっとする辛味が効いて、実に美味い。こんなに食事が美味しいのは、貴重な時間だと彼は思う。


「ねえ、俺は君の言うことは聞いてあげたい。だけど、まだ俺にはいまいち君がバーミリオンにこだわってる理由が判らないんだよ。君ともう出会って結構なるし、その時々にその話はしているというのに」

「あたしは、彼は嫌いなのよ」

「だけど、嫌いであるからと言って、君がこんな長い時間、ずっとずっと兄の知り合いだったから、って理由だけで、その彼を探す理由ってのが俺には判らないんだ。だって確かに兄さんが君にとって大切だったかもしれないけど、君の忙しい時間を裂いて、図書館の司書に嫌な目で見られて、それでも欲しい程の?」


 ゾフィーは黙って水を入れたガラス器からコップに中身を移す。そして幾度かその水をくるくるとコップの中で回すと、ようやく彼女は口を開いた。


「……あたしが、彼に言わなくてはならないことがあるからよ」

「言わなくてはならないこと?」

「それ以上は言えない。でもこれは言ってもいい。バーミリオンは、兄の友達、だったけど、同時に、恋人でもあったのよ」


 あ、とテルミンは小さく声を立てた。


「だからあたしがどうこうというのは当たらないでしょう? だけど、あたしは彼が一つ思い違いをしたまま、あたしの前から姿を消してしまったことだけは知ってる。だけどその思い違いは、ずいぶん大きいのよ。それを抱えたまま、それで平然として生きてくなら、それはそれでいいのよ。それだったらあたしは気楽よ。バーミリオンを見つけたら、平手の一つでも加えて、それであたしも忘れる。それでいいの。だけど、彼がそれをずっと重荷に感じていたら? もしくは、逮捕されて、政治犯で流刑になったとしたら、それはそれで忘れさせられてしまうのかしら?」


 それは、とテルミンは言葉に詰まった。


「あたしは、彼に会って、それだけでも知りたいのよ。そうでなくては、他の誰でもない、あたしが辛いのよ」


 テルミンは目を軽く伏せる。確かにそれは踏み込んではいけない領域の問題なのだ。


「ごめん」

「あ、違う。でも、そういう理由があるのは、確かなのよ。あくまで、あたしはあたしのために、彼と会いたいのよ。どうしても。それだけよ」


 きっぱりと彼女は言うと、さ、食事食事、とやっぱりケンネルの様に話を終わらせた。彼女は結構お腹を空かせていたらしく、パスタにサラダに、デザートのババロア、食後の小さいカップに入った濃いコーヒーに至るまで、実に気持ちいい程によく口にした。



 お互いがお互いの料金を払って外に出ると、彼女は言った。


「ねえテルミン少佐、それでも少佐が聞いてくれるのは、とってもあたし、嬉しいのよ?」

「そう? そうだったら俺は嬉しいけど」

「局にはあたしの気の合う友達って少ないし」

「でもスタッフはたくさん居るだろ?」

「スタッフイコール友達ではないでしょ? それに、女の子だって居ることは居るけど、あたしとはいまいち話が合わないのよ」

「そういうものかなあ」

「だって軍隊だってそうじゃない? 少佐にも気の合う人合わない人っているでしょ?」


 ああ、と彼はうなづいた。


「確かにそうだね」

「そうでしょ。だから、合う人は貴重なのよ。こう例えちゃ悪いかもしれないけど、少佐は気の合う女友達に近い感覚なんだもの」


 テルミンは、予想していた答えに、苦笑しながらうなづいた。


「でも少佐、少食すぎるわよ。もっとちゃんと食べた方がいいわよ。あたしの方が絶対多く食べてたじゃない」

「うーん…… ちょっと普段が最近食欲無いから、きっと胃が縮んでるんだよ」

「そんなに少佐が食欲無くす様な相手って、どういう人なんだろうね」



 こういう人だ、とふと先日のことをテルミンは思い出す。


 そう大きくもないテーブルの斜め向こうには、あの首相の愛人の姿があった。テーブルの上には、象牙色のクロスが掛かり、花と果物がふんだんに置かれている。誰の趣味だろう、とテルミンはそのたびに思う。


「はいご苦労さま。じゃ下がってて」


 ヘラは係の者を、いつもの通り、ある程度までセットしたところで下がらせる。いちいち待ってるのは面倒だ、というのがその言であるが、それは判らなくもない。


「お前ももっと食べろよ、テルミン。最近やつれてないか?」

「そんなことないですよ」


 結局、敬語はこの程度に落ち着いていた。

 性格上の問題だ、と彼は気付いていた。別段敬意は無い。だが、自分にとって確かにヘラが特別な人間であるのは確かなのだ。そういう相手に対して、同等の口はやはり利きにくい。


「でも、食べられる時には、食べておいた方がいいんでしょうね」

「そりゃそうだ。毎日別に俺はごろごろしているだけで、毎日餓えること無く済んでる。ありがたいことだ」


 ちっともありがたくない口調で、ヘラはスープをすする。テルミンもテーブルの真ん中に置かれたスープポッドから自分の分を注ぎ、口にする。

 味は確かにいい。だが美味しいかどうかと考えるのは別だ。自分が半分毒味係でもあることは彼も知っていた。そうでなくて、どうしてこの人物をわざわざ手に入れたゲオルギイ首相が、こんな何処の馬の骨とも知れない士官を一緒に食事させておくだろう。

 それに気付いた時、昼の食事に美味しさを求めることを自分の身体はやめてしまったらしい。

 そして彼はふと口にする。


「そういえば、向こうの惑星では、食料は全てアルクからの持ち込みだそうですね」

「向こう?」


 ヘラは何を言っているのだろう、という様にまだスープをすするテルミンを見た。


「ライですよ。向こうには収容所があるのは知ってますよね」

「一応な」


 ヘラは興味なさそうに、揚げた魚にとろみのついたソースのかかったものにナイフを入れる。さく、という音がテルミンの耳に届く。


「もしかしたら」


 爆弾の使い方は、慎重にしなくてはならない。


「あなたがそこに居たかもしれない訳ですしね」


 かたん、とヘラの手からナイフとフォークが一度に落ちた。テルミンはそのまま相手の表情をじっと観察する。目が大きく開かれ、しかもその視線はテルミンからは、完全に逸らしている。


「何のことだ?」

「言葉の通りですよ」


 ヘラは顔を上げた。そこには、テルミンが今まで見たことの無い様な表情があった。大きく広げられた目には、怒りとも困惑ともつかない色があった。頬から目の下にかけて、軽く赤く染まっている。彼はまた、心臓が一瞬飛び上がるのを感じた。

 だが彼は踏みとどまる。この先が肝心なのだ。言うなら今しかない。そろそろその時期なのだ。


「三年前に起きた、軍の若手士官のクーデターを覚えてます? あれは結構大きな事件だった。何せ、首府を守るべき首府警備隊の士官達が、よりによって、首府に住む市民を脅かす行動を起こしたのだから」

「だからそれがどうしたって言うんだよ」

「俺はその頃、やっぱり首府警備隊にいました。だから、わりと他よりは情報が入ってきたんですよ」

「ふん?」


 ヘラは眉を寄せる。それがどうした、と言う様に。


「だけどその時の事件に関しては、奇妙に情報量が少なくて、それが逆に俺には不思議でした。……結局俺の掴めた情報は、一つだけ。―――25人」

「……」

「ところが、実際の刑場ではそうではなかった」


 テルミンは水を一口含む。口が乾いて仕方がない。ヘラは皿にナイフを落とした時と同じ姿勢のまま、ひどく緊張している。少なくとも、テルミンにはそう見えた。彼は次第に自分の口調が変わっていくのを感じていた。


「俺はその時、銃殺の広場の警備に回されていた。それでよくあんなに並ぶよな、と思いながら、並んでいた柱の数を数えていたのだけど」


 彼は視線を移した。ヘラは手元のクロスを握りしめていた。その手は震えていた。指先が白かった。


「23本しか無かった」

「見間違いだろ」

「見間違いじゃあない。俺は人数を聞いていたから、何度も何度も数え直したんだ。何回数え直しても、23本だった。この間、友人にその時のニュースの録画を借りた。やっぱり23本だった」

「だからそれがどうしたって言うんだよ!」


 ぐっ、とヘラはクロスを強く握りしめる。その拍子に、淡い緑のガラスの水差しがテーブルからすべり落ち、ひどい音を立てて、床で水ごと弾けた。

 どうしたのですか、と外の係の者がその音に拳でノックをする。何でもない、とヘラはひどく大きく、響く声で、それに返した。


「ちょっと手を滑らせて水さしを落としたんだ! 後で呼ぶからいい!」


 気紛れな主人の行動には慣れているのか、係の者は、それ以上の追求をして来なかった。


「その動揺」


 テルミンはゆっくりと指摘する。


「どうして、そんなに動揺しているの? ヘラさん」

「動揺なんかしていない」

「そんな訳ないじゃない」

「だったら、何が言いたい、テルミン。聞いてやる。遠回しに言わず、ちゃんと言え。俺は聞く」


 テルミンは立ち上がり、ヘラの前に手を置いた。


「あなたは、その生き残りなんだ」


 証拠は、未だ不完全である。だが間違い無い、と彼は信じていた。あの屋根裏の部屋で、階下の物音が消えた頃、彼もまた支配されていた身体を自由にされた。そして服のほこりを払いながら身に付け直していた時、彼の前に、あの派遣員はぽんと一枚の折り畳んだ穴の空いた紙を投げた。


「これは、あの日の記録」


 そしてテルミンはその紙を今度は自分の胸ポケットから出した。


「25人の名前が記載されている。読み上げてみようか? A・クーリヒ、K・マンハイム……」

「よせ……」

「……H・アルンヘルム」

「止めろ!」


 テルミンは言葉を止めた。ヘラもまた腰を椅子から浮かせていた。長い巻き毛がざらりと肩から前に落ちる。


「この名簿がずっと見つからなかったんだ。だけど探そうという者も無かった。それはそうだ。無くなったことが判ると、それがまた陽の目を浴びることになるからね? アルンヘルム君」

「俺じゃない! それは俺じゃない!」

「残念ながら、誰がクーデターの犯人か、は今は限定するのが難しいんだけど、H・アルンヘルムという士官のデータを出すのは、今でも実は簡単なんだよ」

「だけどそれは俺じゃない!」

「あんただよ、ヘラさん」


 テルミンは断言した。


「フォートつきで、身長体重生年月日血液型まできちんと記したデータが、H・アルンヘルムがあんただと証言している。ヘラさんあんたは、何故ここに居る? 答えを言おうか? あんたは仲間を売ったんだ」

「……」


 ヘラは腕の力を抜いて、椅子の上に崩れ落ちた。正直言って、テルミンはこのはったりが何処まで効くだろうか、と不安があった。

 確かに彼は、アルンヘルムという人物が、ヘラだという確信はあった。あんな姿の男が、そうそう居る訳が無い。何せ、軍隊のフォートの筈なのに、あの長い巻き毛はそのままだったのだ。

 軍規に頭髪の規制は無いが、実戦を想定すると、短い方が動きやすいのが当然である。なのに、まるで飾り人形の様なあの綺麗な巻き毛は、そのままその士官のフォートにはしっかりと写っていたのである。


「そうだよ」


 かすれた声でヘラはつぶやく。


「だとしたら、どうだって言うんだ?」


 そして、半ば開き直った様に、そう彼に向かって問い返した。


「軽蔑する? 断罪する? できるもんならしてみろよ。別に仲間を売ろうが、そんなことは俺にはどうだっていい。俺はただ生き残りたかった。それだけだ。だからそうした。そして生き残って、日々の生活に脅えることない暮らしをしてる。お前それを責める訳? 俺が望んで加わった訳じゃないって言うのに!」

「望んでいた訳じゃない?」

「あんなずさんな計画の、何処に成功の余地があるって言うんだ」


 彼は言い切った。それはさすがにテルミンの予想の範囲外だったのだ。


「じゃああんたは」

「俺はただそこに居た。話は聞いていたかもしれない。だけど俺に参加する意志は全く無かった。俺はただ」


 ヘラはそこまで言って、口をつぐんだ。


「いやそんなことはどうでもいいな。俺がそこに居てしまったことが悪いって言うのが、向こうの言い分だったからな。それでテルミン、俺にそんなこと言ってどうするの? 俺は今すぐに、お前をここから追い出すこともできるんだよ?」

「あんたはそれをしないよ、ヘラさん」

「何でそう思う? えらい自信じゃないか」

「俺はあんたにとって、有用な人物だと思うよ?」

「ふん?」

「そもそもヘラさん、あんたは決して馬鹿じゃあない。あんたは今の状態が、永遠に続くなんて考えている?」

「永遠なんて知らないよ」

「だったら話は早い。あんたの現在の場所は、現在の首相閣下の指一つじゃない。確かにあんたは今、どうしようもない程のお気に入りだ。でもそれは、気紛れで終わるものかもしれない。ずっとそのお気に入り状態が続いたとしても、もの凄く彼の運が良くて、そのまま彼が老衰するまで首相を続けられたとしてみてよ。その時あんたはそれでもこの位置に居られる? その時あんたは幾つだ? そうでなくても、何かの馬鹿馬鹿しいクーデターや革命騒ぎが起きて、それが奇跡的に成功してしまったらどうする? その時に蜂の巣になるのは、ゲオルギイ首相だけじゃない。あんたもだ、ヘラさん」


 ヘラは椅子の上に横座りになると、足を組み、腕を組んだ。

 脈はあるはずだ、とテルミンは自分にしては珍しいくらいの熱を含んだ雄弁に、やや興奮していた。静まれ、自分。

 しばらくの間、何も言わずに、ヘラは窓の外に視線を逸らし、しばらくそのまま何も言わなかった。

 ひどく長い時間にテルミンは感じられた。だが実際にはそう大した時間ではなかった様である。ヘラは彼の方を向くと、口を開いた。


「それでお前は、俺に何をしろって言うの?」

「あんたがもう少し自由になる方法を、俺は知ってる」

「ふうん? 言ってみなよ」


 視線がひどく冷ややかになる。テルミンは背筋が思わずぞくり、とするのを感じた。


「ゲオルギイが失脚するのも駄目。ゲオルギイが死ぬまで続くのも駄目。じゃあお前は俺がどうすればいい、と思っている訳?」


 低めの声が、テルミンの耳に届き、彼の中の何かをくすぐった。言ってしまえ、とその声は彼の中で作用する。


「あんたがあの場所を取ってしまえばいい」

「馬鹿か?」


 即座にそんな答えがヘラの口から放たれた。


「俺は本気だよ、ヘラさん。あんたが自由になるには、それしかないと思う」

「H・アルンヘルムはあの時銃殺刑にされたんだよ? お前そこまで調べといて、それができると思ってる?」

「無論アルンヘルムは死んだのさ。だからヘラさんが、なればいい」

「どういうことだ」

「あんたは、新しい人間として、その場所を取るんだよ。何処の誰でもなく、ヘラという個人として」

「またクーデターを起こして? そしてまた失敗するんだよ?」

「そんな馬鹿な真似はしない」


 テルミンはきっぱりと言った。


「やるならとことんやる。失敗はしない。俺の頭と時間と知略を全部あんたにやるから、俺はあんたにそうなってもらいたい」


 ヘラは目を伏せ、しばらく左の手で、頬を幾度か撫で回した。ほんの数秒だったかもしれない。だがテルミンには数分にも感じられた。

 やがてヘラは頬から手を離し、目と口を開いた。


「つまりは、止まるも地獄、進むも地獄って訳か」


 そして、開いた目は、それまでに無い強い光をはらんで、テルミンを見据えた。


「手を貸せ、テルミン」 

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