7枚目 夕日が差して

 いい感じに日も傾いてきて、放課後活動の宴もたけなわ。


「さて、満を持して自分の買った盤だな!」


 そう言ってイヌイヌレコードの袋からCDを取り出す。梟のような羽根が目の周りから生えた、人っぽい絵が描かれたジャケット。


「ジャケからだとどんな音なのか想像つかないね~。」


「CDプレイヤー持ってきてるから聴こうぜ。UKのビートメイカーPaul Whiteがラップを全面的にフィーチャーした作品らしい。アルバムタイトルもズバリ"Rapping With Paul White"。」


 カリンバっぽいサンプリングに煙たいビートで始まり、タメの効いたシブいビートに民族っぽい声ネタが使われたトラックが流れる。


「うおお!3曲目の"Trust"ってやつ、Guilty Simpsonのラップだ、クソかっけぇ~!!ぐわっ、4曲目の"Run Shit"はMarv Wonでトラックもラップもクッソドープ!!ヤバい!!」


「トラックも民族音楽みがあっていいわね!私も好きな感じよ。Madlibっぽさもあって取っつきやすいわ。」


「サトはそうか、Madlibは聴くんだっけか。」


「Yesterday's New Quintetとかはジャズでしょうあれは。」


「おい、おまえたちで完結するな。あたしにも教えろ。」


「その話はまた今度な~。今はPaul Whiteだぜ。Guilty Simpson、Marv Won、 Danny Brown、Moe Pope、Homeboy Sandmanと自分が好きなメンツがメチャ並んでる。いや、これは買ってよかったわ。今夜はこれで踊ろう。」


「ってことは、今回もみんな当たりだったってことかな~?」


「だな。あたしも今回のテープは伸びるまで聴くことになりそうだ。」


「そろそろ日も落ちてきたし帰りましょうか。」


「そうだな~、また掘りに行こうぜ。」


「うん!」


 こうして私たちの今日の戦利品は全部良かったということで一件落着。帰りの電車に乗って、みんなそれぞれ買ったばかりの音源を聴きながら帰路につきました。


☆ ☆ ☆


Paul White - Rapping With Paul White - 2011

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