スクリュードライバー(イランで働いていたアメリカ人作業員の発明とされている。つまりイラン&米国の共同発明)

 初めてスクリュードライバーを飲んだのは、ライブバー「東京倶楽部 水道橋店」

 声優の恒松あゆみさん(代表作「ガンダム00」マリナ、「花咲くいろは」川尻崇子)のライブに行った時です。

 玄関を開けたら、いきなりご本人が出迎えての丁寧な挨拶に、全然反応出来ずに「あ、はい、こんにちは」としか言えずに席へ。

 後からは、「私だって分かってもらえなかったのかしら?」という声優さんあるあるなボヤキが。

 違うの。

 俺が人見知りのヘタレなだけですから。

 動揺しつつも、「東京倶楽部 水道橋店」の非常に座り心地の良い椅子を堪能して惚れ込みながら、メニューを開く訳です。ガンダムの操縦マニュアルみたいに分厚いメニューを。

 お洒落なバーでメニューを開くなんて行為、これが初めて。

 ズラッと、酒が並んでいる!

 ファミレスだと見開き2ページで全種類の紹介が済むけれど、バーのメニューだと酒の種類ごとに見開き2ページ!!

 写真抜きですよ。

 酒の名前だけで、全ページ埋め尽くされている。

 多過ぎる!!!!

 多ぉぉぉぉ過ぎる!!!!

 途方に暮れつつも、一応、全ページチェック。

 スクリュードライバーという名前に、目が止まりました。

 ウォーズマンの必殺技の名前じゃん。

 なんたる物騒なトキメク名前の酒。

 iPhoneでググり、ウォッカをオレンジ・ジュースで割ったカクテルであると知り、飲んでもいきなりぶっ倒れるような酒ではないと確かめてから、注文。

 推しの声優さんがいるバーで、酔い潰れたくないからね。

 小さなグラスで運ばれてきたスクリュードライバーは、見た目がオレンジ・ジュースで、飲むと酒。

 氷をチビチビ溶かしながら少しずつ永く飲むという飲み方もググった先で見受けられましたが、知るか。ガンガン飲むわ。もっと飲むわ。

 おかわりしました。

 スクリュードライバーだけで、三杯。

 他の酒は、記憶が無いや。

 たぶん、記憶のその部分は、スクリュードライバーにヤラレたと思う。

 ラーメンマンも、スクリュードライバーで負けたし。

 歌姫モード全開の恒松あゆみさんの声音を全身で浴びながら、その夜は気持ち善く飲み続けましたとも。


 以後、酒場で必ず最初に頼むのは、スクリュードライバーとなりました。

 出す方で酒量を勝手に決められる酒ですので、その店の酒に対する方針が如実に表れます。

 薄めだったりすると、サービスが良くても萎えますね。いくら愛想良くされても、客にケチる態度が透けると、ねえ。

 濃いめだと、こちらの本気度も上がって、その夜は限界まで飲みます。


 スーパーで売られている缶入りだと、アルコール度数が3%。試しにこれを飲んで、これより薄いスクリュードライバーを出す酒場なら、二度と行かない方がいい。客をバカにしているから。

 市販の製品より濃いスクリュードライバーを出してくれる酒場なら、存分に愛用しましょう。


 まあ、こんな探りを入れるなんて口実の一つで。

 善い酔い時間を過ごした想い出にあやかって、最初にスクリュードライバーを頼んでおります。

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