第5話 反旗と恐怖
※そろそろこの米印いるのかと疑問に思い始めてるのでこれで最後にします。1~4話の内容は割愛します。
その後、紗綾の彼氏になってから1週間が経過した。毎朝「おはよう!」毎晩「おやすみ!」の連絡が入る。滅多に更新しないで有名な彼女のブログと違って毎日彼女の近況が聞ける。俺はさりげなく紗綾に友人が紗綾のオタクしてる話すると「誰だか分からないけど応援してくれるだけで嬉しいからいつかお礼が言いたい」と大人な対応をしていた。彼女はどうやら未だにオタクという存在は苦手のようだ。そして未だにさぁちゃんオタクをしてたし、今もオタク目線で語り続ける俺が心の中にいるなんて話は一切してない。というか出来ないから一生黙っておきたい。
夏の終わり紗綾の1人で暮らす家の近くで祭りがあると聞きデートに出かけたり、一緒にショッピングモールに1日出かけに行ったり最高の夏を終えた。お互い夏休みを終え学校が始まると週末以外で会えるタイミングがなく、登坂36のシングル発売に伴う握手会やライブでその週末も会える日会えない日が続いてしまった。何となく付き合い初めて2,3ヶ月が過ぎる頃にはアイドルと一般人との距離感すら覚えた頃、部活の合宿があり木島と長話するタイミングがあった。
「俺実は、最近彼女が出来たんだわ。」この一言には木島は驚く様子は見せなかった。でも「ただ、その相手の子が名前は出せないんだけど芸能界でそこそこ活躍してる子で、最近すれ違いが多くて距離感あるな〜って…」
と言うと流石に長年一緒にいる木島も動揺が隠せなかった。木島はその後少し考えた様子を見せて「大輝よ、俺はその相手は誰だかは知らないけどせっかくいい人捕まえたんだったら向こうが走り出したら追いかけるしかないよ!」と木島らしくないまともなことを言ってたので驚いた。木島はなんだかんだ良い奴なんだよな。そう思えた瞬間だった。
合宿最終日の朝、俺は少し異変に気づく。携帯のフォルダ中に大量の紗綾との連絡を取り合う様子のスクリーンショットが残っていた。俺はそんなことしてないがバックアップか何かの都合でこうなったのだと思い適当に削除してそのままにしていた。無事に合宿は終えて帰宅後紗綾から突然連絡が入る。「大事な話があります。今から会えますか」無機質で他人行儀な一文に恐怖すら覚えた。何となく紗綾に悪い事が起きたことは察しがついたので恐る恐る紗綾についてネットで調べてみた。検索エンジンで「本橋 紗綾」と入れた途端1番上から「彼氏」「炎上」「LINE」恐怖の3単語が並んでいる。どれも俺のことではないと願いつつ1番上の「彼氏」をクリックすると例の週間ホリデーの記事にこんなことが書かれていた。
「登坂36の次世代エースに彼氏がいる?!相手は元オタクのイケメンか…」
訳もわからず、何故そうなったのかも理解が出来ずそれを見た途端冷や汗と涙が止まらなくなった。そして、涙を拭いながら携帯と財布を持ちすぐさま家を出て紗綾の家に向かったのだった。電車で6駅分もある距離なのにわざわざ走って紗綾の家まで駆けつけた。紗綾の住むマンションの表口には数人ではあるが記者がいた。紗綾にいざと言う時の入口にと言われ覚えていた裏口からマンション内に侵入する。464号室。彼女の家の呼び鈴を鳴らす。扉の鍵が開いたような音が聞こえる。要は入っていいということだろう。いつもとは違う緊張感。恐る恐る部屋の奥まで入っていく。弱冠17歳にして人生で最大の山場を今、迎えている。
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