第25話 次に撫でる場所は

 私は、クラーナを撫でたりしている。

 頭を撫でて、喉をくすぐった後、クラーナが私に話しかけてきた。

 どうやら、次の要望があるようだ。


「次は、何かな?」

「その、嫌だったら、いいのだけれど……」


 クラーナは、遠慮がちにそう前置きした。

 何か、心配しているようだ。ただ、私は今更、クラーナの要望を断るなどしないと思う。


「お腹を撫でで欲しいの……」

「お腹? うん、別にいいよ」


 次に撫でる場所は、お腹のようだ。

 頭や首よりも、少し恥ずかしい場所である。


「それじゃあ、転ぶから……」


 そこで、クラーナが仰向けに寝転がった。恐らく、撫でやすいようにするためだろう。

 私はクラーナの横に座り、お腹に手を置く。服の上からでも、その柔らさや温かさが伝わって、少し恥ずかしい。


「あ、服をめくって……」

「え、あ、うん……」


 どうやら、直接触るのが、クラーナの望みであるようだ。

 それは、さらに恥ずかしい。だけど、クラーナが望むなら、私は撫でるまでだ。


「じゃあ、めくるね」

「ええ……」


 私が服をめくり、クラーナのお腹が露わになる。

 引き締まったきれいなお腹が、私の目に入ってきた。

 その中心にあるおへそが、何故か私の緊張を加速させていく。


「……な、撫でるね」

「ええ、お願い……」


 私は、ゆっくりとクラーナの肌に触る。

 すべすべで、柔らかく、温かい。


「ん……」


 クラーナのお腹を、ゆっくりと撫でていく。

 すると、クラーナはまた蕩けた表情になる。


「喉、みたいに、ん、くすぐったりもして……」

「あ、う、うん……」


 そこで、クラーナからまた新たな要望があった。

 私は、撫でるのを一度止め、五本の指で、そのお腹をくすぐる。


「んん……」


 こちらも、クラーナは気に入ってくれたようだ。


 そういえば、動物がお腹を見せるのは、服従の意思があると聞いたことがある。

 もしかして、クラーナは私に服従しているのかもしれない。


 今までの行動から、犬の獣人が、犬と同じような性質を持っていることは想像できる。だが、それが犬と同じ意味なのかはわからない。


 クラーナは、どういう意図で、この行為を望んだのだろうか。


「ん……」


 色々考えていたが、クラーナの顔を見ていると、そんなのどうでもよくなってきた。


 深い意味など、別に知らなくていいのだろう。もしかしたら、単に気持ちいいから頼んできただけかもしれないし、クラーナが嬉しそうなら、それでいいのだ。


「アノン、んん、次は……」


 そこで、クラーナが次の要望を口にしようとする。


 クラーナと私の撫でる行為は、もうしばらく続きそうだった。

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