第20話 頬ずりから始まるじゃれ合い

 私は、クラーナの外出を止めた。

 そして、それが要因となって、クラーナに顔を舐められることになったのだ。


 今はクラーナと向き合い、ベッドに座っている。

 先程は、ソファで同じことをしたのだが、こちらの方がいいという判断になった。


「……それじゃあ、始めましょうか。時間はたっぷりあるものね」

「ぐ、具体的に、どれくらいの時間になるのかな?」

「とりあえず、お昼ご飯までで、いいんじゃないかしら?」


 お昼までというと、今から大体二時間くらいある。

 そんな時間、私の体は持つのだろうか。


「ところで、顔を舐めるんだよね?」

「……」


 そこで、クラーナは黙ってしまった。

 私がした質問の意味は、顔を舐めるだけなのか、ということである。

 つまり、口も舐めるのか、キスをするのかという質問だった。


「キスがしたいわ……」


 クラーナも、言葉の意味はわかってくれていたようだ。

 

 それにしても、随分とストレートに言ってきたものである。


「顔も舐めたいし、キスもしたい駄目かしら?」

「うう……」


 クラーナは、今までで一番の決め顔でそう言ってきた。

 こんな顔をされたら、許すしかない。


「いいよ……思う存分来て……」

「ええ」

「うあ」


 私の許可とともに、クラーナが倒れ込んできた。

 バランスを崩した私は、クラーナとともにベッドに寝転がってしまう。


「ク、クラーナ……」

「クゥン……」


 寝転んだ状態で、クラーナは私の上に覆いかぶさってきた。

 さらに、その状態で頬をこすりつけてくる。


「え? どうしたの……?」

「これは、嫌?」


 私の質問に、クラーナはそう言ってきた。それでは、まったく答えになっていない気がする。

 だけど、これも別に嫌ではない。だから、理由はどうでもいいと思うことにした。


「……嫌じゃないよ」

「なら、続けるわ……あ、重くない?」


 そこで、クラーナはそんな心配をする。

 正直、そんなことはまったく気になっていなかった。

 クラーナは、全然重くない。


 むしろ、重なったことで当たる色々な部分と感触の方が問題な気がする。


「大丈夫……もっと、体重かけてくれてもいいくらいだよ」

「そう……?」


 心配そうな顔でこちらを見てくるクラーナは、とても可愛い。


「ア、アノン?」

「あっ……」


 そのため、私は思わずクラーナを抱きしめていた。

 私とクラーナの体が、さらに密着し、色々と、柔らかいものが体に当たる。


「ごめん、思わず……」

「そう……けど、これなら本当のようね」


 私の行為で、体重を任せていいと思ったクラーナは、頬ずりを再開し始めた。


「クゥン……」


 クラーナの柔らかくて温かい頬が、とても心地よい。


 それに、クラーナからいい匂いがする。

 匂いに関しては、クラーナの方が敏感だが、私も常々感じていた。まあ、いつもくっついているため、当たり前なのだが。


「はむっ……」

「ひゃあ!」


 そこで、クラーナの動きが変わる。

 私の耳を、唇で挟んできたのだ。

 正直、くすぐったい。


「はみ……」


 私が声をあげても、クラーナは口を止めなかった。

 多分、もう集中モードに入っているのだろう。


「ペロ……」

「う……」


 さらに、クラーナは耳を舐め始めた。

 やはり、くすぐったい。


「ペロ……」

「あ……」


 でも、先程から別のことも思っていた。

 結構、気持ちいいのである。


「はむ……」

「あ……」


 その後しばらく、クラーナは耳を唇で挟んだり、舐めたり、頬ずりしたりとしていた。

 まだまだ、この遊びは続きそうだ。

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