第13話 この家の秘密
私とクラーナは、同じベッドの上にいた。
獣人であることで発生した問題も解決し、後は眠るだけだ。
「……そういえば」
「あら、何かしら?」
眠る前に、私は一つ気になることを思いついてしまった。
思いついたからには、聞かずには眠れないだろう。
「クラーナって、この家に一人で住んでいるんだよね」
「ええ、そうよ。それが、どうかしたの」
それは、わかっていたことだ。
だが、そこから生じる一つの疑問がある。
「この家って、結構大きいよね。だとしたら、かなりの値がするはずなのに、クラーナってどういう経緯でこの家を手に入れたの?」
お金の話になってしまうので、少し嫌な感じだったかもしれない。
だが、気になったのだから仕方ないのだ。
それに、これくらいで、クラーナが嫌に思わないことなど、今までの感じでわかっている。
「……アノン、その話をするには、一つ確認しておかなければならないわ」
「へ? 何?」
「あなた、怖い話とか大丈夫かしら?」
「え?」
怖い話が大丈夫かといえば、そんなに大丈夫ではない。
だが、その前振りの時点で、この家の入手経緯が大方察せてしまう。
それなら、いっそのこと全部聞いた方が、気が楽になるかもしれない。
「ごめんなさい。怖いけど、聞かせてください」
「……そう? まあ、簡単な話なのよ?」
クラーナは、なんてことなさそうな口調で話を始める。
どうやら、彼女は怖い話に耐性があるようだ。
「この家に暮らしていた女性が、亡くなったみたいで……」
「うっ……」
「それから怪奇現象が起こるようになったみたいで、すごく安価で販売されたのよ」
「やっぱり……」
大体は予想通りのことだった。
とういうことは、ここは曰く付き物件だったということか。
怖い。
「ちょっ!? ちょっと、なんでそんなに引っ付くのよ?」
「うううう……クラーナ」
私は、クラーナの体にくっついた。
もう何を言われても、離すつもりはない。
「そんなに引っ付かれると、まずいわ……」
「へえっ!?」
クラーナは、私の髪に鼻を埋めた。
そして、息を大きく吸う。
「はあー、落ち着くわ……」
「クラーナ……」
まあ、別にいいので、そのままにする。
というか、この家で起こる心霊現象ってなんなんだろう。
「クラーナ? ところで、この家の心霊現象ってどんなことなの?」
「すー、え? ああ、私はまだ体験したことないから……」
どうやら、クラーナも心霊現象を体験したことがないらしい。
それなら、迷信ってことなのかな。
「……とにかく、さっさと寝るわよ。いつまでも話している訳には、いかないんだから……」
「あ、うん、そうだね……お休み」
「ええ、お休みなさい」
それからしばらくして、私達は眠りにつくのだった。
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