第5話ファーリア界
次にファーリア界のことについてだが、
いかに剣と魔法の世界といえどもそう簡単に異次元への扉を開くことはできないだろう。
元素世界のこちらが異世界を信じていなかったくらいだから相応の年数は閉ざされているはずだ。
それを破って元世にやってきたということはやはり何か起きたとみるべきか。
もう遅いとしても急がなくては。
しかし、アンシャルの力でどうしようもないものを私ごときにどうにかできるものだろうか?
いや、元世に古くから伝わる刻士職人の知恵を駆使すればあるいは、、
太古の昔、この世界にはまだ時が流れていなかったと言われている。
勿論そんなものを信じるのは一部の宗教家を除いて一人もいなかったが、なるほどこうなってくると話は別だった。
眉唾物だと揶揄されて毛嫌いされた私にもアヤのおかげだけでなく、漸く人の役に立てる時がきたのだ。
しかし、この世界には既にダイム時計塔はなく、刻龍もない。
だが、私にはその知識がある。
それで少しでも、世界の役に立てればと思っていた。
そのために私はまず時計塔の設計図を描き始めた。
私の祖父が遺した時計塔の設計図を一から。
ネリークロス機関を含め、これを作り上げることによってファーリアへの足掛かりにしようと思っている。
先代の時計塔とは違い、この時計塔にアンシャルの力を集め異次元への扉を開けないか試すつもりでいた。
一部の機能は組み込まず、システムを再構築したが、起動には成功した。
「博士。これじゃダメだと思いますよ?」
アヤはそこそこグラマーな胸を私の背中に押しつけるように身を乗り出し、パソコンを叩く。
カタカタ
「もし刻士加工を使わないのであればこのプログラムはこうしないと動きません」
私でもわかる失敗をするなんて、アリエス様わざとやってませんか?
勿論そんなつもりはなかった。
少し気を詰めすぎたようだ。
「アヤは成長したな」
何の話です?と怒らせてしまった。
勿論そんなつもりはなかった。
あとで謝っておこう。
それより、
「アヤならここはどうする?」
いいんですか?私が手を入れて。
「たのむ」
私ならここはこうして、こうすればほら、ネリークロス機関が通常より三割増しで動きますよ?
「それだと時間まで止まってしまわないか?」
大丈夫ですよ?それ自体は別ものですし。
そのシステム組むにはどうしても
出力だけなら
具体的に言うと、時計塔という形はあくまで飾り。
応用ばっかやって忘れてましたね?
と急に距離の近くなるアヤ。
だからやめろ押しつけるな!
私にその趣味はない!
「お互い彼氏もいないんだからいいじゃないですか?」
だったらアヤが彼氏作ればいいだろう!
「私には男という選択肢はありません。
アリエス様一択です」
ますます怒らせてしまった。
ってかそれはどうなのかと思うぞ?
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