第592話 ピロートークにしては品が無さすぎる

「いやぁ……流石にこれは妊娠しちゃいますよ!」


 メイにしこたま愛を注ぎ込み、心身ともにスッキリして気絶した俺が目覚めたら窓の外は既に夕焼け色に染まっていた。

 隣にはつい今しがた目覚めたばかりのメイが。彼女は布団を剥いで己の下半身を眺めながら、そんなことをのたまう。


「避妊魔法は使った……はずだよね」


 何しろ、いっぱい出た。メイが可愛すぎたので、そりゃもう濃いのがいっぱい出た。そのすべてを中に注ぎ込んだのだから、もしかしたら避妊魔法を貫通して着床したとしても別におかしくはない。


「ハル殿の子種ですし、普通に避妊魔法くらい無効化してきそうでありますね」

「そうなったらそうなったで嬉しいんだけど、今じゃないんだよなぁ……」


 忘れちゃならないが、俺達はまだ魔法学院の一年生である。そろそろ年度も変わって二年生になるとはいえ、子育てをしながら学門も、というのがなかなか至難の業であることに違いはない。


「ま、なるようになるでありましょう。とりあえず私も久しぶりに発散できたので満足です」

「やっぱ結構溜まってた?」


 あどけない顔をしといて、その実ヒロインズの中でも一番性欲が強いメイルちゃんである。実は結構いるらしい彼女のファンが知ったら泣いて悶絶しそうな事実だよな。

 ま! メイは俺だけのお嫁さんなんだけどな!


「そりゃ、私だって溜まりますよ。アーレンダール重工業の主任技師も楽じゃないですし」


 楽しくはありますが、とメイは言う。


「やっぱりハル殿と一緒の時のほうが開発もスムーズに進みますし、自慰では解消できない心の渇きも満たされますので」

「可愛いこと言ってくれるじゃん」

「伊達に嫁やってないであります」


 どちらからともなく、軽く唇が触れる程度のキスを交わす。


「てかお前もオナニーするんだな」

「してないの、多分ハル殿くらいだと思いますよ」

「衝撃の事実だ……」


 いや、知ってはいたのだ。昔リリーが俺の指でオナッてたことや、マリーさんの足ピンオナバレアクメを目撃している以上、観測外でもそういった行為が行われているであろうことくらいは想像がついていた。

 何しろあの二大清楚キャラが揃って自慰に耽っていたくらいである。メイとイリスがやっていないわけがない!(失礼)

 なお俺は毎晩交代でヒロインズとイチャコラしているため、自慰行為が事実上不要である。実に贅沢極まりない話だ。


「皆、ハル殿を求めているんであります」

「影分身でもできたらいいんだけどな……」


 あいにくと、俺が使えるのは自我を持った自己の複製技である『影分身』ではなく、あくまで俺に似せた魔力の人形を遠隔操作するだけの『分身』である。なお『影分身』なる魔法はこの世界には存在しない。


「それはそれで、誰か本体を取るかで争いになりそうですね」


 うちのハーレムは比較的平和であるが、世の中には血で血を洗う危険極まりない修羅場ヘル・ハーレムも存在するらしい。

 どこかのマフィアの愛人同士では、刃傷沙汰だって日常茶飯事だとかいう噂も耳にしたことさえある。


「メイ達は、俺のために争わないでくれよ」

「ええ、もちろんであります。リリー殿やイリス殿、マリー殿は恋敵ではありますが、同時に大切な嫁仲間でもあるわけですから」


 特にリリー殿は幼馴染でありますゆえ、と付け加えてから腕を組むメイ。すっぽんぽんの特大メガ生乳なまちちが腕に乗っかっていて、果てしなくスケベだ。お前、そういうところだぞ! 無意識に俺を誘惑しやがって!

 メイの豊かな胸元に顔面からダイブして、彼女に抱きつきながらそう言うと――――


「無意識じゃないですよ」

「なに?」

「これもハル殿の寵愛を自身に集中させるための策略であります!」


 そう小悪魔っぽく言ってメイは「うふふ」と笑う。うーん、なんてエッチ可愛いんだ……!


「思えば、俺の性癖はお前によって形作られたのかもしれないな……」


 低身長巨乳。トランジスタグラマー。間違いなくメイの影響は大きい。

 というか考えてもみろ。常日頃からこんなでっかいおっぱい揺らしながら頻繁に抱きついてくる幼馴染がいてみろ。しかも俺以外には媚びず、他所では艶姿を見せないときた。

 こんなの、好きになっちゃうだろ!


「そういえばハル殿は私で精通したって言ってましたね。そこだけはリリー殿に勝ってるであります」

「覚えてたんかい!」


 いつだったかの失言をしっかりと拾われていた俺である。そんなことを後生大事に誇りに思っているメイも大概だけどな。


「ハル殿、このあと暇ですか?」

「うん。暇だけど、なんで?」

「課題、溜まってますよね?」

「あー……嫌なことを思い出させてくれたな……」


 最近溜まってんじゃないの? のノリで学院の課題を思い出すことになるとは……。実技こそ免除されている特待生の俺だが、座学は普通に受講義務があるのだ。

 軍務は公休扱いなので出席日数に関してだけは問題ないが、逆に言えばそれ以外は激ヤバ of 激ヤバである。俺は別にメイやユリアーネのような天才肌の頭脳タイプでは決してないのだ。


「講師役にリリー殿とユリアーネ殿も呼んで、ハル殿強化合宿をやりましょう。あとイリス殿も同じく単位がまずいでしょうから、呼んであげると良いと思う次第であります」

「そうと決まれば早速皆に声を掛けなきゃな」


 チートではあるかもしれないが、いっそマリーさんも講師として呼んでも面白いかもしれない。現代魔法理論に関しちゃ、マリーさんはその道の第一人者なわけだしな。


「ヒルデも何気に要領がいいし、先輩らしいアドバイスをくれるかもしれない」

「いいですねぇ。なんだか普通の学生みたいでテンション上がりますね」

「みたいも何も、俺達まだ学生なのよ」


 かくして、学年末考査対策勉強会@ファーレンハイト皇都邸が開催されることとなる。波瀾万丈の勉強会の始まり始まりだ。








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