ミラクルワン
上条 樹
戦え!ミラクルワン!
ギャオ~ン!
夕日で染まる
黒く猛々しい出で立ち、その額には甲虫のような角が生えている。その角を振り回し、阪神電車近くにそびえ立つタワーマンションをまるで
「キャー!」
「逃げろ!逃げるんだ!!」
群衆がパニック状態で逃げ回る。しかし、どこに逃げれば安全なのかは誰にもわからない。
自衛隊の戦闘機が飛んで来た。
尼崎市の北側には
「おい!誰か、豪を見なかったか!」ジャージ姿の教師が慌てた口調で叫ぶ。
「いいえ!アイツいつも怪獣が現れると姿が見えなくなるんです!一体何処にいったのか?」
「こんな時に!誰か豪を見つけたら教えてくれ!」教師は体育館を飛び出していった。
嵐山少年はニヤニヤしながら、同級生の肘をつついた。
自衛隊の戦闘機がミサイルを数発発射し怪獣に命中する。しかし、それは全く効果が無い様子であった。
「畜生!彼はまだ彼は現れないのか!」戦闘機のパイロットは苦虫を
ジョア!!!
「あっ!ミラクルワンだ!!」
「ミラクルワンが助けに来てくれた!!」歓声に
怪獣の目の前に、身長40メートルは有るであろう巨人が突然姿を表した。その巨人のことを群衆はミラクルワンと呼んだ。
「デア!」彼は、少し腰を引き両手を前に出した格好で構えた。
ギャオ~ン!!
怪獣は再び雄叫びを上げると、
ミラクルワンは闘牛士のようにかわす。標的を失った怪獣は足を滑らして地面に倒れる。その様子をミラクルワンは腕組をして見つめている。
怪獣はもう一度立ち上がると、再びミラクルワン目掛けて突き進む。彼は怪獣のその角を両手で受け止める。力を
ミラクルワンの顔が黄色く染まっていく。
ミラクルワンを支える紫外線エネルギーは、地球上では急激に消耗する。エネルギーが残り少なくなると、顔色が黄色く変化を始める。そしてもし、その顔が真っ黄色になってしまったら、ミラクルワンは二度と再び立ち上がる力を失ってしまうのだ。
ミラクルワン頑張れ!残された時間は
ドリャー!!!
ミラクルワンは渾身の力を込めて怪獣の体を弾き返した。飛ばされた怪獣は阪神電車の高架をプロレスのロープのように背負った。
ミラクルワンは、その瞬間両腕を十字に組み光線を発射した。
その腕から眩い光が生まれた。
ギャオ~~~ン!!!!!
怪獣は苦しそうに叫ぶと激しく弾けて四散した。
空は美しい茜色に染まっている。自衛隊の戦闘機がミラクルワンを称賛するように旋回をつづける。
ミラクルワンは、少しの余韻を残してから、気合いを上げると空高く舞い上がり姿を消した。
「ありがとうミラクルワン!!」
「最高だ~!!」
ミラクルワンが飛び立った後に向かって群衆達は大きく手を振った。
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