桜は、まだ咲かない。


 あれから,どれだけの月日が経っただろう。想像したより遥かに何事もなく,僕はここにいる。

 君がいなくちゃ生きていられないと思っていたのに。必死に縋っていたのが馬鹿みたいじゃないか。


 力無い吐息と共に苦笑する。

 そうではないと,実は君を待ってしまっていると,そんな思考を持たないために。


 君が去った季節。桜は,まだ咲かない。

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