第5話自転車をいつのまにか忘れる夢

夢だ

中学校の校庭の駐輪場にいた

大勢で季節外れのスポーツ祭の準備をしていた

私は自転車で帰る友だちを追いかけた

彼女は歩きだったから

すぐ追いつくはずだった

どこかでバスに乗ったらしい

家のだいたいの場所は分かるから

焦らずに自転車を走らせる

建物の中に入る

駅だ

出口を探していると病院になった

カフェもある

駐車場もある

手術室もある

実習生もいる

高級車が横を走り抜けていく

ぶつからないようによける

その頃には完全に迷子になっていた

看板があるのに

出口にたどりつけない

ようやくたどり着いた頃には夕方で

風に当たって

今自転車に乗っていないことに気づく

あれ、どこで降りたんだろう


目が覚めた

何度思い出そうとしても

どこで自転車を降りたかわからない

なぜ友だちを追いかけたのかもわからない

理由があったはずなのに

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