光の国の人

少年は、魔王のもう一つの恐ろしさに気付いた。それは、不可視であること。誰も敵を捕捉することができない。


見えないものを捉えようとして、頭の中で踠くことに何の意味がある?


少年がそう考えた刹那。

大量の光の粒が少年の視界に飛び込んできた。次第にその光は人のような形をとり、声を発した。


『そなたにワンポイントアドバイス。見えない敵は、見えるようにすればよい。以上!』


少年は光の眩さに思わず目を瞑る。再び目を開けたときには、光の塊は跡形もなく消え去っていた。

唐突に、少年は悟った。少年は思い違いをしていた。魔王とは、決戦の日に戦う強大な敵だと思っていた。しかし違った。魔王は、今も目の前にいる。明日も、明後日も。”魔王討伐“はすでに始まっていたのだ。毎日少しずつ敵のHPを削っていく必要がある。それでも、敵が目に見えないことに変わりはない。

そこでふと、少年は先程の光の言葉を思い出す。今日の敵を見えるようにするにはどうしたらいい?魔王を視覚化するにはどうしたらいい?答えは簡単。魔王を倒すために必要なことを書き出せばいい。それを、確実にこなしていけばいい。


少年は、1日にやることを書き出した。

さあ、あとはやるだけだ。

なんだか展望がひらけた気がした。


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