閑話 千沙の視点 え、誰ですか
「ふぁぁ、よく寝ましたぁ」
現在19時36分。今日も昼寝と称して、4時間ほど寝てしまいましたね。もう夕飯の時間でしょうか。リビングに行く支度をします。
いつも私はゲームやパソコンがある設備が整った東の家の部屋にいますが、今日は珍しく、南の家にあるもう一つの私の部屋に居ました。
こっちの部屋の方がベッドは大きくてふかふかですし、寝るには適してる部屋なのです。私は階段から降りて、リビングに入ろうとしたとき、
「今日のご飯はなんでしょうか。楽しみで―――」
「あのぉ、失礼かもしれませんが、なぜ千沙さんを放っておくのですか? あ、いや、すみません、意外でしたもので。そういうところは厳しい方だと思っていましたし」
「?!」
ちょっ誰ですか?! 知らない人がリビングに居て、知らない人が私のこと聞いてるんですけど! 思わず入口の壁に隠れちゃいましたよ!
あっそう言えば、アルバイトの方が今日から住み込みバイトだってお母さんから聞いたような気がします。
「.....私がね、千沙にひどいことをしたからよ」
「か、母さんは悪くないよ!」
「ママだって千沙姉のこと思ってしたことでしょ!」
「.....。」
..............え、言っちゃうんですか? そんな簡単に娘のこと言っちゃうんですか。見損ないましたよお母さん!
「だってあれよ? 千沙には外の仕事しなくていいってあんなに言ったのに、ちょっと千沙の生活乱れてたら外に出なさいとか。.....あの子きっと私のこと嫌いになったわぁ」
「そんなことないよ! 千沙だってわかってるよ」
「そ、そうそう! 千沙姉も少し不健康すぎるから反省しないとね!」
「..............。」
あ、あぁアレのことですか、気にしてないですし、もう大丈夫なんで知らない人に私のことを勝手に話さないでください。
というか陽菜、貴方、私のこと不健康だと思ってたのですか。奇遇ですね、私自身も不健康だなと思えてきたところです。
「いいえ、違うわぁ。私のこと、嫌いにならないようにするにはもっと甘やかせばいいのかしら.....」
「それ絶対逆効果だから」
「うん、真面目にちょっとは外に出たほうが良いと思う」
「....................。」
ま、まぁ確かにその通りですね。私が言うのもなんですが、これ以上甘やかすこととは火に油を注ぐことと思ってください。
というかお父さん、なんでさっきから黙っているのですか。貴方、そこにいるんですよね? これ以上、お母さんが私の情報を話す前になんとかしてください。
「俺が.....俺がいけないんだ! 機械の修理を千沙に頼みすぎたせいで!!」
期待した私が馬鹿でした。どうしましょう、これではなかなか姿を現せられません。
.......それにお父さん、いいんですよ、私が好きでやってきたことなんですから。
「高橋君はもし.....もし大切な娘がある日突然、熱中症で倒れたらどうするかしら?」
「え、自分ですか」
え?! ちょっ、なんでちょっとした人生相談し始めてるんですか!
というか
「そ、そうですねぇ」
「「「「..................。」」」」
「..................。」
中村家全員、無言で彼の声に耳を傾けます。この人、すごく困ってますね。可哀そうに。
「ご、ごめんなさいね。無理に聞いて。ほらご飯が冷めちゃうわぁ」
「.....自分は親になったことがないので真由美さんのことを本当の意味で理解することはできません」
よし、終わりました。あとは適当な時間を空けて、何食わぬ顔で私が出て、軽い自己紹介をすれば大丈夫でしょう。
「い、いいのよぉ、気にしないで。さ、食事のつづ―――」
「ですが、似たようなことはありました」
....誰だかわかりませんが、空気読んでください!!
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