第41話 お風呂は別々ですか?!
「え、千沙さん帰ってきてるの?!」
「そ。あんたの愛しの千沙姉よ」
「あっ、わかる~? ずっと待ってたんだよねー」
「.............。」
「痛っ! んだよ、冗談だよ冗談! なにも殴る必要ないだろ!」
「あんたがいけないんでしょ!」
「うるせ! お前には関係ないだろ!」
「か、関係なくはないでしょ.....ごにょごにょ」
「は? 聞こえないよ」
なにこいつモゴモゴ言ってんの。そうかぁ、千沙さん帰ってきたのかぁ。聞けば8月2日らしい。
俺も夏休みだから、平日もバイトしに来てもう4日経つぞ。本当に引きこもりなのかな。何か悩みでもあるのだろうか。
あ、えーっと、今日は晴れ。夏真っ只中なので安定の暑さである。というかもう今日の仕事は終わって、あとは家に帰るだけだけど。
いやぁ、日が伸びたからか、19時まで仕事だよ。疲れるけど、稼げてバイト野郎満足です。ぐへへ。
「はいはい、二人ともそこまで。泣き虫さん、お疲れ様」
「あ、ママ」
「真由美さん、お疲れ様です。ってそれやめてください」
「え~いいじゃない」
「?」
俺は南の家から出てきた、エプロン姿の真由美に挨拶をした。え、エプロン似合ってる~。ほんっと若々しい人だよね。帰ったら、この前買ってきたDVD、人妻モノでおかずは決定である。
「あのね、高橋君で良ければなんだけど、うちに住まない?」
「それを聞きたかった!!」
「ちょっなによ急に」
「ふふ。元ネタはそんなに興奮しないわよ? 今の子でも意外と知ってるのね」
「名作ですから。で、どういうことでしょうか?」
「あんた知らないで即答したの.....」
俺はつい即答してしまった。だって、その言葉は期待通りなら――――
「そのままよ。聞けば高橋君、あなた両親が家に不在なのよね? なら夏休みの期間はうちで住み込みバイトしないかしら?」
やったぁぁぁぁああああああ!!!
葵さんと、陽菜ちゃんと1つ屋根の下だ!! あんあんウフフだぜぇぇええええ!!! 姉妹丼も夢じゃない!!
「距離がいくら近いって言っても、お昼休憩とかいちいち戻るのは面倒でしょ?
衣服は用意してもらうけど、うちなら3食、おやつ付きの食・住よぉ」
「おお!」
「安心して、私たちは南の家で生活するし、あなたの寝どころとお風呂は東の家ね? プライベートは守るから」
くっそぉぉぉぉおおおおおお!!!
葵さんと陽菜と別々かよ!! 姉妹丼どころか、空しく息子と1人暮らしかよぉぉぉおおお!!!
「え、ママそれ私、初耳なんだけど」
「言ってないものぉ」
「なんでぇ?!」
「あなた興奮するし」
「しししないわよ?!」
「してるじゃない」
まぁでも、それなら夏で日が伸びたと言え、今まで半日だった仕事時間が、朝から晩までの1日になるんだ。頑張らないと。
「あ、あんた、信用していいの?」
「? どういうこと?」
「ほ、ほら! 覗きとか!」
「しねーよ!」
「ほ、本当かしら? あんたヤラシイし」
「少なくともお前は興味ねーよ!!」
「あんた今胸見て言ったでしょ?!」
「なぜ?!」
「視線ですぐバレるわよ!! ほんっと最低!! ママこいつやっぱ駄目よ! ヤらかす前に通報よ!」
こ、こいつ! さてはこの前俺んち来て、あのDVD買ったの根にもってるな。“ドキドキ、禁忌の兄弟愛、愛情フルバースト”.....あれ限定品で在庫なかったのに、壊しやがって。
まぁ、危険を予期して事前に
陽菜の奴、責任とってくんないかなぁ。ボロンってするからさ、その貧相な胸でね?
「はいはい...........ほんと仲良いわね、あなたたち」
「「仲良くない(ですよ)!!!」」
「ふふ、それで返事はどうかしら? うちとしては戦力増えるから、ありがたいのだけれど」
なんと、こんな俺でも戦力扱いしてくれるらしい。4カ月ちょいしか働いてないのに.........。
「いえ、こちらこそよろしくお願いします。むしろ永久雇用でもしいですよ? お嫁さんはもちろん葵さんで」
「調子に乗らないの」
「はは、すみません」
まじで嫁ぎたいぜ。子供は10人欲しいです。バイト野郎、毎晩頑張ります。
「な、なんで葵姉?!」
「?」
「あ、あのとき好きって」
「え? ああ、“茄子の時”の話ね」
「嘘なの?」
「嘘なわけないじゃん、ガチだよ?」
「っ?!」
なに、どいうこと? なんで顔赤くしてんの?
いや、陽菜、お前彼氏いんじゃん。NTRは童貞にはハードル高いよ? そりゃあ狙うなら葵さんだよね。
そう考えると俺って、葵さんとか陽菜を“性的な目”でしか見てないよなぁ。控えめに言ってクズである。ぐへへ、ごめんちゃい。
「それとDVDプレヤーあるから。.........使うなら音量には気をつけてね?」
「..................。」
なお、真由美さんも俺のことを“性的原動力で生きている人間”だと確信している模様。
.........陽菜め、バラしたな。いつかファッ〇してやる。
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