第三三六食 鍋メンたちと楽しい時間⑤
昼食を終えた後、七人はショッピングを再開した。といっても七人中六人が女性ということもあって
「千鶴さん千鶴さんっ! ハンカチを買いたいんですが、こっちの花柄とあっちの水玉模様ならどっちの方が可愛いと思いますかっ!?」
「あァ? ンなもん自分の好みで決めりゃいいだろ……オレは花柄の方がいいと思うけどよ」
「分かりました! それじゃあお兄さんへのプレゼントはこれにしますっ!」
「
時にはお日様系少女の無邪気さに振り回され。
「あの、千鶴さん……蒼生さんは大丈夫だと思いますか……?」
「あン? ただ疲れたから休んでるってだけだろうが。多少
「いえ、そうじゃなくて……蒼生さんってああ見えて結構女らしいところもあるから、
「オイやめろ、
時には想像力豊かな眼鏡少女の
「すみません、
「ひより……別にお前に謝られることなんてなにもねェよ。まァ、お前みたいにマトモな奴があの三人とつるんでる理由はよく分からねェが――」
「むっ? あそこにいる二人組の男、
「指の骨鳴らしながらドコ行く気だお前ッ!? やめろ、たかがナンパを
時には武闘派少女の知られざる一面に
「あ、千鶴さーん。どうー? そろそろ唇がヒリヒリするの治ったー?」
「う、嬉しそうに聞いてきてンじゃねェぞ、テメェ……!」
時には激辛だった昼食の感想を
いつもは大人など大嫌いな千鶴だが、今ばかりは彼女らを教え導く〝教師〟という存在が偉大なものに思えてならなかった。たった四人の高校生相手でさえこれほど大変なのだ、遠足や修学旅行で何十人もの生徒たちを引率するなど考えただけでも恐ろしい。千鶴のことを見た目だけで不良扱いしてきた当時の担任も、もしかしたら今の千鶴のような気持ちだったのかもしれない。
そして、彼女が高校生たちに手を焼かされているうちに矢のごとく時間は過ぎ去り――気付けば帰りの車の中。
「ったく……散々遊び回って、座った途端にお
「ははっ! よっぽど楽しかったみたいだなあ」
助手席に座った千鶴のぼやきに小声で笑い返したのはハンドルを握る夕だ。後部二列の座席ではJK組の面々と蒼生が全員揃って仲良く眠りこけていた。そのため行きと比べ、帰りの車内は実に静かなものである。
「つーかなんで
「まあまあ、いいじゃないか。寝かせてやれよ」
「テメェも同罪だろうが。なに中立みたいな顔してやがる」
「別に真昼たちを押し付けたつもりなんてないぞ? ただホラ、今回の買い物はあくまであの子たちからお前に対するお礼っていう名目だったから仕方なく、な?」
「ケッ、物は言いようだな。おかげでせっかくの休日が丸々潰れちまった。夕飯もまたあのクソガキのせいでバカ甘いクレープになっちまったし……こんなことなら来てやるンじゃなかったぜ」
「そうか? でも俺の目には、あの子たちにあちこち引き回されてるお前が楽しそうに見えたけどな」
「……フン、寝言は寝て言いやがれ」
鼻を鳴らした金髪女子大生はどっかりとシートに体重を預けて
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