第二五七食 旭日真昼と初日の出①
「う……ん……」
「(あっ!? や、やば、起こしちゃったっ!?)」
慌てて青年の隣から飛び
そしてなんとなく
「……あれ……まひる……?」
「お、おはようございます、お兄さん」
「……うん、おはよう……。……あれ……?」
寝起き特有の
「え……なんで真昼、俺の部屋にいるんだ……?」
「えっと、それが昨日の夜、お兄さんのお部屋で眠っちゃったみたいで……」
「へ……? ……って、ハッ! い、今何時だ!?」
「(あ、なんか
ようやく覚醒した夕の反応に親近感を覚えつつ、真昼は改めて現在の状況と時刻を伝えた。つまり年越しの瞬間に二人揃って爆睡していたということ、そして今は
すると青年は「ま、マジか……」と
「ご、ごめん!? 年越しの時間になったら起こすつもりだったんだけど、自分でも気付かないうちに寝てて……っ!?」
「へっ? い、いえ、お兄さんはなにも悪くないですから!? 寝ちゃったのは私も同じですし!」
「でも真昼、カウントダウン楽しみにしてたんじゃ……」
手を合わせたまま気遣うように見上げてくる青年の優しさに、真昼はくすっと表情を
「本当に気にしないでください。それよりもお兄さんっ!」
「は、はい?」
言いながらピシッと
「あけましておめでとうございます」
「え……あ……あけましておめでとうございます……」
「今年もよろしくお願いします」
「よ、よろしくお願いします」
「えへへ、一緒に年越しは出来ませんでしたけど、おかげで初めてお兄さんとお泊まり出来たんだからよしとしますっ!」
「いや、〝お泊まり〟なんて
「え? なんでですか?」
「な、なんでって……そりゃ、その……へ、変なとこ触られたりしたら嫌だろ?」
「変なとこ……? ……はっ!? お、お兄さん、まさかっ!?」
「触ってない触ってないッ!? 新年早々とんでもない誤解をしないでくれ!?」
顔を赤くして
「ふふ、そうですよね。お兄さんはそういうこと、出来ませんよね」
「そ、その言い方だとただのヘタレ野郎みたいで嫌だな、誤解されるより一〇〇倍マシだけど……とにかく、今後は気を付けるんだぞ?」
「はーい……あれ? でもお兄さんが私になにもしないっていうなら、別になにも問題ないんじゃないですか?」
真昼が特に
「……駄目だ」
「どうしてですか?」
「どうしてもだ」
「でもお兄さんは私になにもしないんですよね?」
「しない」
「だったらお兄さんの部屋にならお泊まりしても問題ないんじゃないですか?」
「駄目だ」
「どうしてですか?」
「どうしてもだ」
以前の雷騒動の際には「怖いので泊めてください」などとはとても言えなかった彼女だが、しかしこうして理屈だけで考えてみると、案外なんの問題もなかったのではないかと思えてきて仕方がない。一緒の布団で寝るのは流石にまずいだろうが、隣に布団を
「と、ところで真昼サンや」
――と、つい今しがたまで「もっと積極的に」と考えていたせいか少しばかり
「せっかく元旦にこんな早起きしたんだから、ちょっと外に出掛けてみないか?」
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