贋作屋の手帳
願 咲耶
贋作屋の手帳
がんさくや
私の行動はすべて今までの生活に起因し
私の思索はすべて今までの学習に起因する
どこにも「本当の私」はおらず
私らしさは存在しない。
私は願咲耶 心の贋作屋
私は彼を見る
中身なんてどうやったって見えはしない。
私から見る彼は 彼の心の姿じゃない。
「彼らしさ」は彼じゃない。
彼が大切にする「私らしさ」には
そんなに価値があるものか
私が彼に見せる表情は 本当の感情に起因しない
…ともすれば私に 本当の感情なんてない。
ただ状況をみて適当に心をこねてるだけだ
でなきゃ突然流れる涙の説明がつかない。
私の選択はすべて
本当に「私らしさ」に起因するなら
彼から見る私にも
本当の「私らしさ」があるのだろうな
私の思いも全て伝わって、それでも私を見てくれるだろうか
私は彼を見る
中身なんてどうやったって見えはしない。
私が見ている「彼らしさ」は所詮私の押し付けだ
贋作らしさ
贋作こころ
贋作こせい
彼は今笑ってる 私は今泣いている
でも、きっと
彼から見る「私らしさ」は笑っているのだろう
私は願咲耶 心の贋作屋 ふふふ
どこまでもあやふやな自分はどうあるべきかを
不安がって見つめ続ける。
でもね、
私は「本当の私」がいつの日か
美しく花咲くことを願っているんですよ。
彼の見つめる「私らしさ」と一緒に。
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