第25話

 ウルホルス街から出発する前に、食料と最低限の日用品を購入する。


 野宿には変わりないが、少しは生活をしやすくなっただろう。


 さてと、グロータル街へ向かうとするか!


 グロータル街までは歩いてなら一週間程で着く。


 爺さんに早く会いたいが、コロシアム闘技場での疲れが残っているので、ゆっくりと向かうことにした。


 初日は天気が悪く、予定よりも進めなかった。


 雨宿りができそうな洞窟を見つけたので、初日はここまでとしよう。


 場所が何処であろうと修行はする。


 修行といっても洞窟では広さに限界があるので、簡単な筋トレしかできない。


 筋トレを二時間程してから、食事の支度を始めた。


 ウルホルス街で購入した魚を包丁で三枚に下ろし、焼いて食べる。


 魚を食べた後、寝るまでの間にもう一度、筋トレをしてから寝た。


 起きると雨も止み、太陽が出ていた。


 荷物をまとめて、爺さんのいるグロータル街へと向かう。


 初日は天気が悪くて進めなかったが、二日目以降は順調に進めた。


 ウルホルス街を出発してから六日が経った。


 かなり順調に進み、グロータル街の近くまで来ていた。


 ついに爺さんに会えるんだ!

 そう思うと足が軽くなり、走り出した。


 走り出した瞬間、横にある森から男性の悲鳴が聞こえてきた。


「うわぁぁぁぁ!」


「や……やめろー!」


 悲鳴の数は一つだけではなかった。

 俺は気になって様子を見に行く。 


 すると、俺と同じ歳ぐらいの女の子が複数の男達に囲まれていた。


 女の子は黒髪のショートカットで、黒色の道着を着て、武術で男達を圧倒している。


 男達も攻撃をするが、難なく避けて反撃をする。


 女の子の武術はどことなく、俺や爺さんに似ている。


 

「あんた達、弱すぎるわ! 出直してきなさい!」


 女の子が油断している隙に一人の男が、背後から剣で襲いかかった。


「調子に乗ってんじゃねぇ!」


 油断していたので、反応できずにいる。

 

 助けるつもりはなかったが、勝手に体が動いた。


 剣を蹴りで弾き飛ばし、蹴りの勢いのまま、回し蹴りを顔面に食らわした。


「大丈夫か? 全員を倒し切るまで油断は禁物だぞ?」


「あ……ありがとう」


「今度からは気をつけなよ……そんじゃあ俺、急いでるから!」


 特に何も話さず、グロータル街へと向かった。


 グロータル街の城門の前に着いた。


 ウルホルス街と同じで、街に入るには身分証を提示しなければならない。


 俺は同じ失敗は繰り返さない。ウルホルス街を出発する前に身分証もしっかりと準備している。


 身分証を提示すると、思っていた以上にすんなりとグロータル街に入れた。


 街に入ると人の数は少なかった。どうやら、このグロータルの総人口は数千人程しかいない。


 さらに殆どが武闘家のようで、武闘家が職業の人間なら必ず一度は訪れる街だ。


 俺は街に入ってから、街の人に聞きながら爺さんを探した。


「マーシャル・ビリーという爺さんを探しているんだけど知らないか?」


 街の住人は皆、揃えて言った。


「ビリー様に対して爺さんとは無礼だぞ!」


「お前みたいな人間が会えるお方じゃない!」


 と、全く情報が集まらなかった。


 それでも俺は諦めない!

 

 とりあえず、グロータル街の中心部に行ってみることにした。

 

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