第16話

 先に[ブレイカーズ]と[コスタリアル]というパーティとの試合が始まる。


 [コスタリアル]はベテラン冒険者パーティで、魔法使いが二人組だ。


 冒険者はブロンズからプラチナクラスまであり、[コスタリアル]はプラチナの一つ手前のゴールドクラスらしい。


 冒険者についてはあまり詳しくないが、それなりに強いんだろう。


 試合が始まると魔法使いは詠唱を始めて、[ブレイカーズ]は魔法使い以外の剣士と武闘家は相手に近距離の職業がいないので距離を詰める。


 [コスタリアル]は片方の魔法使いが魔法障壁を張り、もう片方は詠唱を継続する。


 かなり分厚い魔法障壁で、剣士と武闘家の二人が攻撃をしても障壁は割れない。


 剣士は防御特化なので攻撃力はない。

 武闘家は[刹]の魔法を使わずに通常状態で障壁を攻撃する。


 何で[刹]の魔法を使わないのか疑問だった。


 剣士と武闘家は障壁を前に、何もできずにいる。


 [コスタリアル]の片方の魔法使いは威力はあまり出ないが回転率の早い魔法で[ファイアーアロー]や[シャイニングアロー]で攻撃をする。 


 剣士と武闘家は防戦一方で少しずつ後ろに下がっていく。


 もう片方の魔法使いの詠唱が終わり、極大魔法を発動した。


「地より広い海よ、敵をなぎ払え!極大魔法・[オーシャンウェーブ]!」


 魔法陣が広範囲に展開され、巨大な波が[ブレイカーズ]に襲いかかる。


 剣士はすぐに味方の魔法使いの元に戻り、詠唱中の魔法使いを守る為に[ウォークライ]を使用する。


 [ウォークライ]で魔法使いは守れたが、剣士は巨大な波に耐えきれずに気絶してしまった。


 武闘家は[ウォークライ]を発動する前に波に流されてダウンしていた。


 しかし[ブレイカーズ]の魔法使いの二人は剣士のおかげで守られた。


「私の極大魔法・[オーシャンウェーブ]に耐えただと!?」


「あ……ありえん! こうなったらもう一度、詠唱して発動してやるぞ!」


 詠唱を始めたが、どうやら遅かった。


 ブレイカーズの魔法使い二人の詠唱が完了していた。


「極大魔法・[シャイニングサン]!」

「極大魔法・[ダークムーン]!」


 トーナメント二試合目の時と同じ極大魔法を発動した。


 魔法陣から光り輝くレーザーと何よりも暗く悍しいレーザーが[コスタリアル]に襲いかかる。


 魔法障壁を二人で張るが物凄い勢いで障壁を破り直撃した。


「こ……この私達が、負けるとは……」


 [コスタリアル]の二人はは耐えきれずに気絶した。


 [ブレイカーズ]は二人がダウンしたがなんとか勝利した。


 観客席から歓声が鳴り響く……。


「やはり、今年も[ブレイカーズ]が優勝か!」


「[コスタリアル]も強いはずなのにそれよりも強いのか!」


「[ブレイカーズ]が結成されてから三年だけなのに完成度が凄いわ!」


 [ブレイカーズ]が舞台から降りた後も歓声は鳴り止まなかった。


 歓声の中、俺は舞台に上がった。


 そして、運営が魔法結界の中に入った魔物化したライオンを、舞台へと上がらせる。


 魔法結界を解き、魔物化したライオンは歓声よりもデカく吠える……。


「ガオォォォォォ……」


 歓声は一気に止み、魔物化したライオンの遠吠えだけが鳴り響く。


 魔物化したライオンの遠吠えが止んだと思ったらいきなり襲いかかってきた。

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る