魔法の世界で魔法が使えなかったので武闘家で最強になる。
@tartar1024
第1話
俺、
結婚をしていないので、お金には不自由をしていないし、会社でもそれなりの評価を得ている。
唯一、困っていたのは彼女ができないことぐらいだ。
仕事が終わって家に帰っても「ただいま」と言ってくれる人もいない。毎日が家と会社の行き来だ。
だがそんなある日、いつもの様に仕事を終えて帰宅しようと街中を歩いていると背後から刃物で刺された。
刺された瞬間、頭が真っ白になっていたが、急激に刺された箇所に激痛が走る。
俺はもうここで死ぬのか……。
結局、27年間生きてきたが彼女は出来たことなかったし……童貞で終わったなぁ……。
そしてゆっくりと目を閉じる。
俺、武田闘児は27歳童貞で死んだ。
あ……あれ?
まだ意識があるぞ?
痛みがない?……。
恐る恐る、目を覚ますと一人のお爺さんが目の前に立っていた。周りを見渡すと建物は一切なく、空も地面も全てが真っ白だ。
人はお爺さん以外はいないし。
一体どこなんだ?
刺された傷は治っているし何故だか、身体がかなり軽く感じる。
お爺さんに話を聞いてみるか。お爺さんならここが何処なのかわかるだろうし、とにかく今は情報が欲しい。
「あ……あの、すいません……ここは一体どこなんでしょうか?」
お爺さんは顎髭を触りながら答える。
「ここはわしの……神の世界じゃ」
……はぁ?
神の世界だと?
本気で言っているのか?
「神の世界ということは貴方は神様なのですか?」
「うむ。この世界は、死んだ人間がこの世界に訪れて、死んだ世界とは違う世界に転生させる為に存在するのじゃ」
話を聞いて俺は確信した。
やはり俺は死んだのだと……。
「そ……そうですか。では、俺は死んでしまったのですね……」
話は納得できたが、死んでしまったのを理解するのに時間がかかった。
「俺はこれからどうなるのでしょうか?」
「うむ。お主には魔法の世界に転生してもらおうと思う」
「ま……魔法の世界ですか?」
魔法の世界ってことは魔法が使える様になるんだよなぁ?
ゲームな漫画の中で出てくるような魔法を使えるのか!?
「そこでじゃが、転生する時になんでも一つだけ要望を聞こう」
「一つですか……う〜ん」
魔法の世界ならやっぱ強くなりたいよな。属性系の魔法やいろんな魔法を使ってみたいし迷う。
考えた結果[全属性能力]にすることにした。
[全属性能力]があればそれなりに色々な魔法を使えるだろう。
「神様、[全属性能力]を使えるようにお願いします」
「うむ。承知した」
「早速じゃが、転生するからわしの前で目を瞑って横になってくれ」
言われた通り目を瞑り、横になる。
俺は初めての体験でワクワクしていた。
「では、転生を始める。転生した世界でもう一度、死んでしまうと二度と転生はできん」
「はい。しっかりと覚えておきます」
少しずつ意識が遠のいていく。
完全に意識がなくなり、睡眠を取るかのように脱力した。
どれだけの時間が経っただろうか。
俺はいつまで、目を瞑っていればいいんだろう。
しかし、魔法の世界なんて楽しみすぎる。
誰もが魔法を使ってみたいと思うだろう。
いきなり、女性の声が聞こえてくる。
「テリー……テリー……テリー」
テリー?
これって俺のことを読んでいるのか?
俺は確認の為、目を開けてみる。
「テリー、無事に産まれたね! 今日から貴方の名前はテリーよ」
どうやらさっきの声は母親の声のようだ。ようやく、転生が済んで産まれてきたのだろう。
転生が成功したので、ガッポーズをしようとしても身動きが取れなかった。とりあえず、今は大人しく眠ることにしよう。
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