義理の姉妹がデレルまで、デレてから
かにくい
第1話 姉と妹
あれは確か約一年半前。僕が中学二年生の夏休みの時だったかな。父さんが珍しく家に帰ってきて一緒に夜ご飯を食べているときだった。
会話を挟みながら、楽しく食べていた時急に父さんが黙って、何やら重々しい空気が流れ始め、父さんが口を開いた。
「.......なあ、結人。父さん再婚しようと思うんだが.....」
「……は?」
僕には母さんがいない。何でも元から体が弱くて僕が小さい時に病気にかかり亡くなったらしい。
実際に見てないから何とも言えないが。
写真とか、動画とかで見たことはある。お墓にも何度も行った。
一緒に写真に写っていたものもあったし、大事に、大切に僕を抱えている写真もあり、この人が直感的に僕の母親なんだなって思った。
でも、その人はもうこの世にはいないわけで。どうやってももう会えることはできなくて。
だから僕は母さんという存在を感じたことがなかった。それが急に現れるとなると身構えしてしまう。それに生みの親でもない、赤の他人が。
「動揺するのも分かる。嫌な顔をするなとも言わない」
「……うん」
「俺は今まで結人に寂しい思いをさせてきた。つらい思いもさせてきた。母さんを知らない。家族を身近なものと感じたことも無いと思う。」
「……」
そう.....かもしれない。父さんも僕のために一生懸命働いているせいか、ほとんどこうして一緒にご飯を食べるなんてことはなかった。
身近に感じたことは確かにない…けどさ
「俺のために結婚をするなんてことしなくていいよ。父さんが俺のために一生懸命に働いてくれるのは分かってるから。俺はそれだけで十分だよ。しっかり伝わっているから。父さんは僕の大切な家族だから」
「ごめん.....ごめんな…」
「ほらほら、泣くなって」
父さんが泣いている姿を見て俺も泣きそうになった。父さんもいろいろつらかったんだろうな。
「僕のためなんかじゃなくて、自分の幸せのために結婚しなよ」
「大人みたいなこと言いやがって」
「わ、ちょやめろって」
父さんに頭を雑に撫でられ,くすぐったいのと少し気恥ずかしさが残る。
僕はこれでも十分幸せなんだよ。
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それから、一年半後.............
「ねえ、お兄ちゃん♪」
熱っぽい吐息を出して、頬を染め何やら興奮しながら僕のベットに入ろうとしてくる妹の明音。
「ねえ、結人」
こちらは妖しく微笑みながら僕に近づいてくる姉の凛さん。
「二人とも、僕はもう足は治ったから。添い寝はいらないから…ね?責任なんて感じなくていいよ。全部僕が勝手にやったことなんだから」
そのケガももうとっくに完治しているんだけど、何故か二人がそれを心配してほとんど毎日添い寝しようとしてくる。
「じゃあ、私も....勝手にお兄ちゃんの面倒見てもいいよね?」
ふふっと明音ちゃんが笑い、首に腕を回してくる。そのまま、頬にキスをしようとしたところで凛さんが止めに入る
「そしたら、私も当然面倒見てもいい事になるよね」
凛さんの方に引っ張られ、大きな胸に強制的に顔をうずめられる。ギューッと抱きしめているせいか少し苦しいけど、これはこれで....
なんて思っていると、明音ちゃんが強引に離す。
よしっ、今が好機だ。
「明音ちゃんも凛さんも自分の部屋に戻りましょう?それに明日僕は入学式だし」
「そうね、だから明音。部屋に戻りなさい。あなたはまだ中学生でしょ。私は同じ高校の先輩として結人にいろいろ教えなきゃいけいから」
そう言って凛さんは妖しく微笑み
「っ…」
「ふふっ」
膝を優しく触ってくる。なんだか妙にゾクゾクして…。
「もう夜中の午前0時なのにこんな時間から何を教えるのかな?お姉ちゃん。そんな事したらお兄ちゃんが寝不足になっちゃうからお姉ちゃんは部屋に戻って大丈夫だよ。私がしっかりお兄ちゃんを見守っているから」
そう言って凛さんの手をどけて僕の上に跨ってくる、それに対抗するように凛さんは僕の背中に抱き着く。
ふふっと笑顔で微笑みながらどちらとも目が笑ってない。
最初にあった時は二人とも、男の僕を目の敵にして全く喋ってくれないどころか自己紹介が終わった後に
明音ちゃんからは「挨拶は済みましたし、金輪際近づかないでもらえますか」と言われ
凛さんには「さよなら」
って言われたっけ。
今思うと懐かしい。
この一年半、僕は二人と仲良くなるために必死に頑張ってきた。
この話は.....こうなるまでと、こうなってからの話である。
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新作、
冷たい彼女の落とし方。よろしくお願いします
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