真心

雨世界

1 ずっと、あなたを待っています。

 真心


 プロローグ


 君が好きだよ。大好き。


 本編


 ずっと、あなたを待っています。


 その日は、朝からずっと雨が降っていた。


 ここしばらくの間、晴れた日が続いていたから、どこかに大量の水が溜まっていたのかもしれない。その雨は延々に降り続くかのように空からコンクリートの大地に向かって落ち続けていた。

 朝の支度を整えた木下鈴音は傘をさして駅に向かった。

 それから鈴音は強めの冷房が効いた電車の中でずっと三つ葉を待っていた。

 しかしその日、三つ葉は電車に乗り込んで来なかった。それはとても珍しいことだった。鈴音は久しぶりに一人で学校まで登校することになった。

 目的の駅でホームに降りためるは改札を抜けたところで、鈴音は三つ葉に『今日はどうしたの?』 という短いメッセージをスマートフォンで送った。しかし三つ葉からはなんのメッセージも返ってこなかった。それはとても珍しいことだったので、鈴音はなんだかとても嫌な予感がした。

 学校の朝のホームルームの時間になると、担任の古谷先生が「松山三つ葉さんは今日お休みです」とみんなに伝えた。三つ葉のお休みの詳しい理由を古谷先生は話さなかった。ただ今日は松山さんはお休みですとだけ教室のみんなに伝えた。

 古谷先生は注意深く感情を表に出さないように気をつけていたみたいだったけど、鈴音は古谷先生の心の奥にある動揺に気がつくことができた。古谷先生は教室のみんなになにかを隠していた。そのなにかとはおそらく三つ葉のことだと鈴音は直感した。

 鈴音はそれから午前中の授業を受けて、お昼になると古谷先生に会いに行った。

 古谷先生は職員室でお弁当を食べていた。

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