1 迷い子



_____________________________________


おやおや、こんなところにお客さんとは珍しい。

こんにちは、小さなお客さん。こんなところへ何の御用でしょう?



…ふむ、迷った?そうでしたか…ヒトの子、ですか…

あ、いえいえなんでもありませんよ。ただの独り言です。

しかし困りましたね、私はここを離れるわけにもいかないのですが。まあ、非常事態ということにしておきましょうか。さあ、こちらにいらっしゃい。



え、私の名前ですか?…「とこぬし」で結構ですよ。

しかしこんなところへ迷い込んでしまったとは、君もなかなか不幸ですね。私でなければ命を落としていたかも、なーんて。冗談というものですよ、ふふふ。



ただ、それ以上につらい仕打ちは受けていたかもしれませんがね。

では身の上話はこの辺にして…参りましょうか。

どこにって、それはもちろん親御おやごさんのもとへですよ。私が連れて行ってあげましょう。



さあ、つきましたよ。ここをくぐれば戻れます。

今度は迷わないようにするんですよ、次はありませんからね。

ええ、さようなら。どうかお元気で。








ふう、行きましたか。

しかしこんなこともあるのですね。地主神じぬしがみ神域しんいきに迷い込むなんて。


_____________________________________

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る