第7話 冒険者になれました
あの試験から数時間、他の試験は続き、俺とティアは実力を見せつけていった。
戦闘試験ではティアが試験官をボコボコにする始末、俺は習得した超戦闘能力開花を使用して乗り切ったが、周りの連中が絶望しきった顔をしたのが謎だったな…。
それから翌日。
ブリッグが前に出て、合格か不合格かを発表する。
意外と悪い部分が出たからな。テイマーで魔法が扱えるのは例外とは思えないが……。
「レンジ、ティア。お前ら二人は合格だ。お前ら二人は全くもって規格外の性能だったからな」
規格外?ただ魔法の威力が強いのとテイムしている魔物が強かっただけなのでは?
「それとレンジ、聞いたぞ。ティアはお前がテイムした人竜族とはな。しかも階級はグレイトドラゴン。幼体だけでも街一つが滅ぶレベルだ」
え……こんな可愛い子でも街一つが滅亡するレベルなのか?
とんだヤバい奴に進化させてしまったな…。
「それにしても……どうやってテイムした?グレイトドラゴンは大昔絶滅した種族だったはずだ」
「普通に【魔力進化】を使って進化させたが?」
元々はドラゴニュートだったしな。
それを聞いた人は驚愕な表情になる。
「【魔力進化】だと!?失われた魔法を何故お前が取得してる?」
本読んだら取得しました…っていうのはやめておこう。後に面倒だ。
だが、追試にこう記入されていたな。
魔力進化の習得条件
・魔法が使える事
・職業がテイマーであること。
・MPが1万以上である事
二つはともかく、残りの一つが難しすぎる気がするんだが……。
「なるほど……お前の妹はテイムされた魔物で、しかも上位種に進化させたって事か…全くもって恐ろしい男だよ」
「そうか?かなりの戦力にもなるし、何より懐けば可愛いから問題ないと思うが?」
ティアの頭を撫でる。ティアは目を細め、にっこりと喜ぶ。
「あ、あり得ん……テイムできる可能性が最も低いとされている種族だぞ?よく手懐けれたな」
何も襲われてたし、衰弱してたから餌と睡眠を与えたら勝手にテイムされたんだが……。
「にぃにがアタシをテイムしてくれなかったら、今頃餓死してたと思うの。ありがとう、にぃに!」
ティアが俺に抱き着いてくる。こうなってくるとブラコン属性が付いた妹だ。
まぁ嫌いじゃないけど。
ブリッグが少し苦笑し、話を続ける。
「ところでお前ら二人は晴れて冒険者だが、どうするんだ?」
「そうだな…」
せっかく神様から新しく貰った人生だ。謳歌はしたい。
だがまずは足場を固めなくてはならない。適当に依頼を受けて、徐々に資金を貯めてから各国を巡る旅とかは悪くなさそうだ。
「適当に依頼をこなしながら旅をするのが目標かな」
それに、他にも魔物を仲間にするかもしれないしな。
「そうか、達成できればいいな」
*
しばらくして宿屋。
個室に戻った俺達は英気を養うため、早めに切り上げてきたのだった。
「明日からにぃにと冒険かぁ……楽しみ!」
「そうだな」
ティアは早く明日にならないかなと興奮してる。
そんなに俺の事が好きなのだろうか?妹だからか?
愛情度を確認してみるか。
ウインドウを開き、ステータス画面を出す。
ティア・キリシマ
LV5→8 メイン称号:レンジの妹 サブ称号:冒険者
種族:人竜族 種族階級:グレイトドラゴン
性別:雌 種族能力:飛翔、
状態異常:無し
愛情度レベル:300
HP450→800 MP168→200
特技
ブレス系
・凍える吹雪 ・黒炎の息吹 ・ポイズンブレス ・麻痺毒ブレス
・酸性の息 NEW
物理技
・
魔法
・
レベルが上がってるし、色々追加されてるな。
愛情度が300まで上がってるし、体力とMPがヤバイ数値に達してる。
今後の前衛はティアに任せるほかないな。
「アタシ、パワーアップしてるー?」
「ああ、しかもとんでもないくらいにだ」
ティアは「ふふふっ」と無邪気に笑い、俺のベッドで寝転がる。
まぁレベルが上がって嬉しいのはわかるな。
「今日はにぃにと一緒に寝たい!」
え?
ちょっと待ってくれ!?これは流石にいけない気がするぞ!?
妹と添い寝なんてヤバいんじゃないか!?
「ティア、残念ながら今はそこまで間は狭まってない。何か、妙な事を考えてないか?」
ティアは「うぐっ!」と言って黙る。やっぱりな。
成程、愛情度が高くなればなるほど友情が結ばれ、最終的には恋人関係にまで至るのか。前世の俺は社畜だからな。ゲームは趣味だが、スポーツとかできない。
運動はそこまで好きじゃないが、この第二の人生で克服できればいいが……。
「うう……ごめんなさい」
「別に怒ってはいない。ただ、まだそこまで関係がうまくいってないだろう?ここから引き合わせるように努力すればいいんじゃないか?」
第一、テイムした魔物で妹になったとはいえ、抵抗があるのも事実だ。
ティアは人形じゃない。れっきとした人竜だ。彼女にも人生がある。
「俺はもう寝るが、ティアも寝ろよ」
「うん。おやすみ、にぃに」
俺はベッドの上で横になり布団をかぶる。
明日から冒険者として仕事を得れるんだ。油断はしたくない。
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