第34話 なにか──

「なにか行動をおこそうというとき、まず念頭におかなければならないのは『ルール』だ。フットボールの試合をしているというのに、便利だからと手をつかうかい。ルールはなによりも大事にしなければいけない。もちろん、『自分の意見』などよりもね。そうしたことを頭にいれながら、さて、本題に入ろうか」


「正義のための悪はゆるされるか」


「わたしのなかでは、それは常にノーだ」


「正義のためという言い訳をゆるせば、悪しき前例をつくることになります」


「そのとおり」


「しかし、制約のない悪とたたかうためには──」


「きれいごとばかりも言っていられないね」


「どうすれば」


「責任をとるしかないよ。フットボールで手をつかえば退場だ。自分が正義だと言うのなら、責任をとるというルールだけはまもらなければいけない」

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