第30話 能力分析の──

「能力分析の話が多くなってきたね」


「わたしは好きですよ。非常に勉強になります」


「じゃあ、いつものように場合わけからはじめようか」


「召喚能力とは──なんですか、カズトヨさん」


「ふたつのパターンにわけていいと思うね。すなわち『門』なのか、『生成』なのか」


「ヨイチさんのような『打ち出の小づち』系の能力は、前者ということですね」


「まったく、ヨイチさんのおかげで我々は食費をおさえられている。本当に感謝感謝だよ」


「自分は悪魔が召喚できる、などとうそぶく連中もいますが」


「地獄や魔界というものが本当に存在するかどうかだね。それを証明できなければ『生成』だ」


「つまり妄想の産物である、と」


「は、は。まあ、ひらたく言えばそういうことだね」


「そのふたつに、能力としての差はありますか」


「さて、それは能力者の素質次第じゃないかな。かたちを維持できない実物もあるだろうし、実物とかわりない幻影もあるだろう。ただ、実物を呼びだす『門』の召喚能力であった場合、ある程度の制約は課されることになるはずだ」


「個数制限のようなものですね」


「おなじ人間はふたり呼びだせない。まあ、これは当然だね」

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