第16話 死神は──
「死神は『死をあたえる者』なんでしょうか。それとも『魂を導く者』なんでしょうか、カズトヨさん」
「もちろん、わたしは前者だと思うね。魂を導くようなやさしげな存在なら、あんなおそろしい姿で描かれるわけがないじゃないか」
「はは、たしかにそうですね。それなら神々しい雰囲気のほうが似合います」
「わたしの想像する死神はね、予言をすることもなく、余命をおしえることもなく、ただ『その瞬間』に鎌をふりおろしていく。まあ、そういった存在だね」
「その瞬間というのは、『命がつきる瞬間』ということですか」
「死神は死のにおいをかぎとってね、いままさに死なんとしている者のちかくで待機するんだ。そして、心臓が止まった瞬間に命の糸を切る。切られた者はうまく死ぬことができる」
「うまく死ねないとどうなるんです」
「さて──どうなるんだろうね。命に傷をおったまま生き続けるのか、行き場をなくした魂が別の肉体に憑依してしまったりするのか。どうであるにせよ、そのときこそ死神が、自主的にうごきはじめるのかもしれないね。死ねなかった者を、しっかりと死なせてやるために」
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