転移少女は竜女と歩む〜ウロコとアンマリの冒険譚〜
ジョン
バアル1
「……きろ……起きろ!」
「ん? なによ……」
そう言って寝ぼけ眼を開いた黒髪ショートヘアーの少女、ウロコ。
彼女の目の前には見慣れない金髪ロングヘアーの少女の顔があった。
「うわっ! びっくりしたぁ! ……あなた、誰よ?」
ウロコが尋ねた。
「ちゃんと意識があるか、どうやら転移魔法は成功したようだな」
少女が言った。
「ちょっと、人の質問に答えてくれない? あんたは誰って聞いて……って、なにこの草原! ここどこ?」
周囲の緑色の海を見渡しながらウロコが言った。
「やかましい奴だな……まあいい、答えてやろう。アタシの名はアンドロマリウス。そして、ここはお前が住んでいた世界とは異なる世界、アナザーランドだ」
「……なるほど、ここはそのなんとかランドっていう遊園地なのね。で、あんたがそこのガイドのアンドロイドと」
「違う! 何もかもが違う! ったくなんなんだこの理解力のなさは、異世界人というのはこんな奴ばっかなのか?」
「ご、こめんってそんなに怒らないでよ。もう一回説明お願い! ちゃんと聞くから!」
「……はぁ、もう一回だけだぞ」
それから数十回の説明を受けた後、ウロコは自分の置かれている状況を理解した。
「はぁ、はぁ。流石に……理解できただろうな?」
アンドロマリウスが言った。
「ええ、ばっちし! 手間をかけさて悪かったわね」
ウロコが申し訳なさそうに言った。
「いいってことだ。分かって……もらえたならな」
「それで、お疲れの所悪いんだけど。何で私をこの世界に連れてきた訳?」
「ん? そうか、そういやその本題がまだだったな」
アンドロマリウスはオホンと咳払いをひとつした。
「お前をこの世界に転移させた理由は他でもない、異世界人であるお前にアタシの仲間、71体のドラゴンを救ってもらう為だ!」
「ドラゴンを……救う?」
「そうだ。それは突然の出来事だった。ある日、この世界に謎の赤色の雨が降りそそいだ。そして、その雨を浴びたドラゴン達は我を失い、悪魔の様な異形な生物へとその姿を変えてしまったんだ」
「……」
「ドラゴンの存在はこの世界のバランスを保つのに必要不可欠な存在だ。それらが本来の姿を失った今、世界にどういった異変が起きてもおかしくない。世界を救う為にも、ドラゴン達を元の姿に戻す必要がある!」
「……」
「そして、そのドラゴン達を救う特別な力をもつものが、お前だったというわけだ。だからお前にはこの世界でドラゴンの救出を行ってもらう、いいな」
「……」
「ふんっ、まあいきなりこんな世界に連れてこられ、あげくその世界を救えと言われて、首を立てに振る奴はいまい。だがお前にはやってもらわなくてはならないのだ。嫌と言ってもアタシの魔法で操って……!」
「うん、いいわよ」
「……何?」
アンドロマリウスは目を見開いた。
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