085
お風呂上がりのすずを柴原さんから受け取り、歯磨きをする。
「ねえね、はみがきのうたでやってー。」
私の膝に頭をのせてお利口にゴロンと転がるすずは、最近テレビで覚えた歯磨きの歌がお気に入りだ。一緒に見ていたら自然と私も覚えてしまった。
「はーみがき、しゅしゅしゅ。あーの口、しゃっかしゃか。いーの口、しゃっかしゃか。はい、ぴっかりー。」
すずは踏み台に乗って、コップで口をゆすぐ。
「くちゅくちゅぺー、できたー。」
若干洗面台をべたべたにしながらも、すずはひとりですることができる。ちょっと前までは踏み台に乗っても背伸びをしないと届かなかった。日毎にどんどん成長していくすず。
「パパ、おやちゅみなちゃい。」
元気よく挨拶をすると、すずは走って寝室へ消えた。私は慌てて追いかける。
「すず、走らないで!」
「やだー!」
これから寝ようというのに、まだまだ元気いっぱいだ。
眠たい素振りを見せず直前まで大きな声でしゃべっているのに、突然静かになる。え?と思って見ればもう寝ている。そんな光景にももう慣れた。
「すずはママのこと覚えてるの?」
直接聞くには憚られた私は、すずの寝顔を見ながらそっと呟いた。
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