083

病院を出た私は結局何をするでもなく、そのまますずのお迎えに行った。

すずは相変わらず元気で、保育園にも慣れて泣くことがなくなった。


「すずは平和でいいね。」


「ん?なあに?なあに?」


「へ、い、わ。」


「なあにー?」


「何でもない。さ、帰ろ。」


「すず、べいーかーのるね。」


すずは器用にベビーカーによじ登ると、自分で座って自分でベルトをカチッと閉めた。


「えっ!すず自分でベルト閉めれるの?」


「すずできるよ。ほら!」


ドヤ顔のすずに思わず顔が綻ぶ。

昨日までできなかったことが急にできるようになっている。いつの間にか会話もスムーズになっている。どんどん成長していくすず。


今日保育園で何をして遊んだ、誰が泣いた、おやつが美味しかった、ひととおりしゃべると、今度は覚えたての歌をちぐはぐに歌い出す。

私はそれに相づちを打ちながらも、頭の片隅で夕食のメニューを考えつつ家路に着いた。

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