064
翌朝会社に行くと、武藤さんが大きな紙袋を私の席にどーんっと置いた。
「橋本さん、これよかったら使って?」
「何です?」
紙袋の中を見ると、大量の子供服が入っている。
「娘のお古だけど、好きなものだけ使ってよ。保育園とか服いっぱいいるでしょう?」
「ありがとうございます!」
そうなのだ。子供ってすぐ汚したりして着替えが多く、保育園でも予備の服を何枚か置いておかないといけない。それにサイズもどんどん変わっていく。そろそろ買い足さないとと思っていたところだった。
「ところで、いつまで姪っ子ちゃん預かってるの?」
「え…?」
「あ、変な意味じゃなくて、育児時短勤務を申請したらどうかなーって思っただけよ。今はいいかもしれないけど、そのうち保育園行事とか、習い事とか始めると時間に融通利く方がいいわよ。うち大手だから、その点福利厚生充実してるし。」
武藤さんの言うことはもっともだ。
育児時短勤務にしておけば時間の融通はもっと利くし、すずの送り迎えももっと楽になるかもしれない。何より、すずの負担も減るだろう。
「でも実子じゃないので取れるかどうかわからないですよね。」
私は疑問を口にするが、武藤さんは手をパタパタと横に振った。
「就業規則読んでみたけど、制約がなさそうなのよね。ダメ元で申請出してみたら?」
確か来月は保育参観があるとお便りに書いてあったし、それ以外にも意外と行事事が多そうだ。柴原さんも時々早朝に会議があるらしく、そういう時は私がすずを保育園に送って行くのだが、最近何でも一人でやりたがりのすずはやたらと時間がかかってしまう。結果、私が遅刻しそうになるということもあった。そんな時、時短勤務だったらどんなにいいかと思ったものだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます