058

ダッシュでお風呂場まで逃げ、ピシャリと洗面ルームの扉を閉める。

動揺する胸を落ち着けながら、私はおずおずと扉の隙間から顔だけ出した。


「み、見た?」


恐る恐る聞いてみると、柴原さんはそっぽを向いたまま咳払いをした。


「…見てないよ。」


いや、それ、絶対見たよね!

その反応は見たよね!


とたんに顔がカアアと赤くなる。

お風呂から出たばかりなのに変な汗が出てきた。

くそう、嫁入り前なのにっ!


「す、すすすすずの着替えさせてっ。」


パジャマとおむつをリビングへ投げ入れ、私は洗面ルームの扉をピシャンと閉めた。


はーもう、心臓に悪い。

いつもはもっと遅く帰ってくるから油断してた。

何もこんなタイミングで帰って来なくてもいいじゃないか。


裸…見られたかもしれない。

………橋本美咲、一生の不覚なり。

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