032

「えーっと、あ、すずは?」


「ここで寝てるよ。」


柴原さんの目線の先、私のベッドより一段低い簡易ベッドで、すやすやと寝息を立てていた。


「よかった。」


すずの姿が確認できて私はほっと胸を撫で下ろした。見た感じ怪我などもなさそうだ。


柴原さんは立ち上がると、私の肩を押してゆっくりとベッドへ寝かす。


「あの。。。」


「大人しく寝ていてくれ。」


「はあ。…じゃなくて、柴原さんが助けてくれたんですか?」


「倒れたところを近所の人に発見されて救急車で運ばれたそうだ。」


うわー、まさかの救急車で運ばれたとは。

近所の人もさぞかし驚いただろう。


「えっと、じゃあ柴原さんは何でここに…いる…んです?」


私の問いかけに、柴原さんは鋭い目つきで睨んでくる。迷惑そうなのがひしひしと伝わってきて、私は胸がぎゅっとなった。

精神衛生上よろしくないので、早くお帰り願いたい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る