026
「課長、すみませんが少しお話があります。」
席を立っていた課長は私に気付くともう一度座り直し、しっかりと向き合ってくれた。
緊張で変な汗が出てくる。
「実は今姪っ子を預かっていて面倒を見ているんですけど、その子がお熱で保育園から呼び出しがあったんです。早退してもいいでしょうか。」
恐る恐る聞いたのに、課長の答えはあっさりしたものだった。
「大変だね、早くお迎えに行ってあげないと。」
「え、いいんですか?」
あまりにもあっさりしていて拍子抜けしてしまう。逆に課長は疑問を投げかけてきた。
「仕事より子供の方が大事じゃない?仕事なら皆でフォローするから気にしないでいい。」
「ありがとうございます。」
あまりにも理解がありすぎて鼻の奥がつんとしてくる。こんなにあっさりと早退が許されるなんて思ってもみなかった。
さすが、三人の子持ちは違う。この人が上司でよかった。それに武藤さんも。子育てをしている人が近くにいてしかも理解がある。
今までまったく気付かなかったけど、なんて恵まれた職場なんだろうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます