ダイナマイトは星の数

 授業終了のチャイムが鳴る。これで全ての授業が終わった。一日の終りだ。一日の終り?いや、まだ家に帰って時間がある。いやいやその前に部活の時間がある。まだ一日は終わっていない。一日の終りとはなんだ?終わる?確かにその日が終われば永遠にやってこない。毎日繰り返しの一日は一生やってこない、なんだか贅沢な使い方だ。不思議だ。


 日々学校に行き部活を適当にやり、家に帰って過ごす。この繰り返しだ。この繰り返しに何か意味はあるのだろうか。いずれは仕事をして毎日会社に行くことになるのか。これが人間に与えられた一生なのか。なんだか悲しいな。

 

 隣の席の友達は多分こんなこと考えない。だってバカだから。それはとても頭のいいバカなんだと思う。こんなこと考えても何も生まない。考えないからこそに意味がある。それはこういったことなのかもしれない。そういう意味で自分は少しだけ賢くなったのかもしれない。


 それでも一生友達に敵わないと思う。だってバカだから。成績的な意味ではない。人として素晴らしくバカだから。尊敬したいくらいバカだから。自分はバカになれなかった。気づけば知らないうちにプライドと言う壁でバカを閉じ込めてしまった。バカになりたいけどバカになれない。そんな自分が悔しい。


 バカとは自分の素だと思う。だからバカという言葉はなんだか好きだ。友達に言ったらお前バカだなと言われそう。いや、言ってくれ。頼むから俺をバカにしてくれ。こんなクソみたいなプライドの壁をぶち壊してくれ。もう自分だけじゃこの壁は壊せそうにない。バカになりたい。壁の外に出てみたい。


 そんな時友達が席を立つ瞬間、言った。


 「      」。


 あぁ、そうだったのか、バカな友達も考えてしまうのか。でも考えか方は人それぞれなのか。プライドと言う壁は思ったより薄いのかもしれない。自分で勝手に作り上げた幻想なのかもしれない。


 視点を変えれば自分の壁は何でもなかった。確かに分厚い壁。でもこっちから見れば薄い壁。壁の外に出れそうだ。


 たまには壁の外に出で見よう。たまにはね、バカになってみたいし、バカって言われたい。

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