【おさころ】〜私を振った幼馴染が女友達とくっつけようとしてくるので殺していいですか? そして何故か本当に付き合う事になりました(?)
monaka
第1話:気になるアイツは【ストーカー】?
私は、自分の恋心に気付いた。
この感情が恋なんだって、生まれて初めて彼に対する感情が友情ではなく恋心なのだとはっきり気付いてしまった。
そして同時に、その相手に殺意が芽生えた。
あぁ、どうして私はこんなヤバい奴の事を好きになってしまったんだろう。
事の顛末は少しだけ前に遡る。
「ねぇ口にクリームついてるよ♪」
そう言って私の親友、
「き、気付いてたしっ!」
「まったく
強がる私をからかうように奈那が笑って、クリームのついた指がその口に吸い込まれていく。
私の名前は
「可愛いのは奈那の方だってのっ!」
そう言いながら私は、彼女がつついているパフェからさくらんぼを奪って口に放り込む。
「ふぇっ!? わ、私が最後まで取っておこうと思ってたさくらんぼがぁぁぁぁっ!!」
彼女は何代か前にどこかの海外の血が混ざっているらしく、サラサラの金髪。髪は腰上くらいまで伸ばしている。
遺伝で何代か前の特徴が出てくる事があるんだってさ。
目は大きいし睫毛も長くて顔が小さくってお人形さんみたい。
身長は確か百五十センチくらいだったかな? 手足は細いし驚くほど肌が白い。
性格は一言で言うと天真爛漫だが、彼女の素晴らしさを一言では言い表せないのでもっと言う。
無邪気。天使。妖精。美人。天使。天使。あとエンジェル。
クラスで、どころかおそらく学校一の美少女と言っても過言ではないだろう。
男子からは常に視線を集めている。
私は、と言えば……そんな彼女を薄汚い野郎共から守る番犬扱いされている。
そんなに外見悪くないと思うんだけどなぁ。
多分どっちかっていうと性格が災いしているんだろう。
自分でも分かってる。強気で、乱暴で、男子だろうとムカついたら殴り掛かるような暴力女だ。彼女と比べちゃいけない。
だけど、そんな私でもちゃんと女の子なのだ。
もっと可愛い服だって着たいし、恋愛だってしたい。素敵な彼氏とデートして、ロマンチックな夜景でも見ながら初めてのキスを……。
「おーい。聞いてる? 聞いてない? 聞こえてない? じゃあもらっちゃうね?」
キス? キスなんて……私は何を考えてるんだ。少なくとも今の私はそれどころじゃない。目の前の天使をゲス共から守らなきゃいけないんだから。
しかも私は今妄想の中でキスの相手として誰を思い浮かべた?
なんでよりによって……そんなアホな事があるか。あいつだけは無い。
とにかく、私の事は後でいいの。気を取り直して今を楽しもう。
そう決めて、私は自分のショートケーキ最後の一口を……。
「イチゴが無い……だと?」
「さふらんほたべられひゃったからかわりにいひごもらうひょーっていっはよ?」
うん。口の中いっぱいでもごもご何言ってるか分からないけど大体意味は理解した。
「こんにゃろ早く返せ!」
「むっ、むぐっ……! ぷはぁっ!! 喉に詰まって死んじゃうかと思ったよぉ」
「飲み込んだな!? 早く出せ! 返せ私のイチゴ!!」
「えぇ……? でも私がもぐもぐして飲み込んだイチゴだよ……? それを返してもらって嬉しいの……?」
「嬉しくないし返されても食べないけどムカつくから返してっ!」
「ふふふっ♪ なにそれー絵菜めっちゃおもしろーい♪」
「笑いごとじゃないよ! 私のイチゴ……って、あれ?」
……気付いてしまった。
「んー? どうかしたの??」
奈那が不思議そうに私の顔を見つめるので私はごまかした。
「な、なんでもないよ。気にしないで」
「よかった☆ イチゴ食べたの許してくれるんだねありがとー♪」
くっ! それは許してないんだけどこの際仕方ない。
私達は休日を利用して、最近できた喫茶店で思い思いのスイーツをつつき、これから一緒に買い物に行く予定だったのだが……。
なんであいつがこんな所に……?
奈那の向こう。
彼女の背後の奥の向こうの先の席に、私の知っている顔があった。
休みの日だから偶然って可能性もあるけど、あいつは甘い物が特別好き、って訳じゃなかったはずだ。
私の幼馴染で、隣の家に住んでいる阿呼辺(あこべ) 流姫椰(るきや)。
変わった名前を周りにイジられて小さい頃はよく泣いていたっけ。
それを毎回私が助けてやってたんだ。思えばこいつのせいで私は乱暴キャラにならざるを得なかったと言っても過言ではない!
事あるごとにイジられたりいじめられたりするルキヤを助ける為に私は格闘技まで習った。
強くあろうとするあまり、気が付いたらそれなりの結果を出してしまう程に格闘技と私は相性が良かった。
つまり私がこうなったのは全部あいつのせいなのだ。
しかし……なんであいつが?
まさかあいつ奈那をストーキングしてるのか?
確認する必要があるな……。
この日から私の運命が大きく間違った方向に逸れていくことになる。
今になって思えば、こいつがただのストーカーだったなら私はこんな殺意を抱く事もなかったんだろう。
――――――――――――――
お読みいただきありがとうございます♫
次回より問題のアイツ登場です。
この作品はかなりニッチな部分を突いた作品で、かなり人を選ぶラブコメかもしれません。
ただ一つ言えるのは、作者は滅茶苦茶楽しく書けました(笑)
この後登場する奴とのドタバタカオスラブコメを少しでも楽しんでもらえたら幸いです☆彡
気に入って頂けましたら是非作品フォローしていってくださいませ♫
続きが気になる、面白いと思っていただけたら☆評価なんかもして頂けるとモチベ向上に繋がりますので応援よろしくお願いします☆彡
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます