第十五章 レイカとヒビキはメンバに会いに行く

第十五章 【レイカとヒビキ】(1/6)

 御仕度中。カリンとセイラから呼び出されたから。体育館裏に。じゃなくて、モールの駐車場に来てって。よかったよ、ヴァンパイアでも鏡映るって。本性現した時だけ映んなくなるんだって。

〈保護色のごときものか。肉食獣が獲物を狙った時に対象の視界から消えてなくなるような〉

あー、うっさい。あんた少し黙ってくんない?


 トリマ、メイクできてよかった。でも、ネイルだけはちょっと困ってる。なっが、この爪。尖ってるし。これじゃ、せっかく買った新製品、キラキラ黒曜石ブラックもすぐなくなっちゃうね。困るな。ヴァンパイア用のネイルって売ってんのかな。今何時? あー、いよいよこのスマフォだめだね。ガラケー、ガラケー。


 モール遠かった。

カリンの紫キャベツは。あった。タンクトップの肩が見えているのはセイラ。ゴッ、ゴゴッ。来たよ。セイラ驚かしちゃった? ゴメンゴメン。

ウイィ。車の窓、もちっと開けてくれないと話しづらい。

「レイカ、ウチら友だちだよね」

なに! そぃう展開?

「ウチらのこと、襲わないでよ」

何だ、そぃうことか。

「襲うわけないじゃん」

後ろ、失礼します。あれ? バスケのボールがゴロンって。もっふもふのシートカバーは? 

「血だらけだったから、捨てた」

そ、なんだ。

カリンがバックミラーで何かを探すようにしてから、こっち向いて、

「大丈夫なのかな」

こっち見てたセイラが、わざわざバックミラーをのぞいてからまたこっち見て、

「うーん。わかんない」

なに? このアウェー感。

「カリンたち、いつから気付いてたの?」

「レイカがヴァンパイアってこと?」

「『R』ゲットした日あたりかな」

そういえば「この人たち」とかって言ってた。

「でもこの間はまだ鏡に映ってた」

「じゃあ、青墓の杜でカレー☆パンマン被せたのは?」

「映んないかもって」

「あの時は助かった。カーミラ・亜種一撃だった」

「そうそう」

そうそう、じゃないしょ。

「レイカ。ヴァンパイアになるってどんな気分?」

「うーん。もともとそういう体質だったし」

いままでと気分的には変わらないかな。

「体質って、どんな?」

「そーだね。夜目がすごく利くとか。鼻がいいとか。犬には必ず吠えられるとか。タマネギが嫌いとか」

「タマネギは単なる好き嫌いじゃない? セイラも嫌いだよ」

「血を見たらやっぱり抑えられなくなるの?」

何これ? インタビュー・ウイズ・ヴァンパイア?

「なんでそんなこと聞くの?」

「あ、ごめんね。セイラたち興味本位で聞きたいんじゃないんだよ」

「そうなんだ。これからすることをレイカと一緒で大丈夫かって」

「そう」

これからすること? なにする気だろ。

「さっきの質問なら、浴びたり口にしなければ大丈夫、多分」

試したことないけど。

「で、何するの?」

「すぐ分かるから」

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