第18話:マナの魔力量
「簡単な話だ。マナが直接魔物を討伐する必要はない。俺がやる。俺とマナには共通スキル【供給】がある」
ライツの言葉に「そうか」とリオルートが頷く。
「マナの魔力を使うことが出来るなら、おまえが一日に討伐出来る数を増やせるということだな」
「そうですね。私もそのようにするのが一番かと思います。マナ様を危険からお守りする上でも」
「お待ちください」
そこに神官長が声を上げた。
「その、救世主様の魔力量はどれほどのものなのでしょう? すでに数値を確認済みですか? ライツ様やレディル様と同等か、それ以上の魔力をお持ちなのでしょうか?」
ライツがスキル【鑑定】を持っているということを神官長は知らない。
神官長の言う数値確認とは【鑑定】での数値ではない。
現在の魔力量を数値化する手段は、同じ魔力量と定められた魔法を魔力切れの症状が出るまでひたすら繰り返す。その繰り返した数がその者の持つ魔力量とされている。
つまりそのやり方で自身の魔力量を数値化しようとすれば、魔力量の大きい者ほど時間がかかるということになる。しかも単調ゆえに精神力が削られる作業となるのだ。
「・・・・・・マナの魔力量は、俺とレディルの魔力を合わせても届かない程、膨大なものだ」
ライツの言葉に神官長は「おお!」と感嘆の声を上げた。
「神官長。間違ってもマナの魔力量を調べようなんて考えないでくれ。俺やレディルでさえ音を上げかけたあれをマナにさせようなんて、拷問にも等しいのだから」
ライツからの威圧に神官長は従順な態度で「はい」と答えた。しかしその後、ふと首をひねった。
「・・・・・・あの、では、数値確認をされていないとなると、なぜ救世主であるマナ様の魔力量が、ライツ様とレディル様を合わせたものよりも大きいとわかったのでしょう?」
「・・・・・・・・・・・・」
ライツは口を噤み、兄へと視線をやった。
リオルートはそれに小さく首を振って応え、神官長へと言葉を投げた。
「神官長、その答えは後回しにさせてもらおう。それよりも、ルザハーツ家当主として、この国の住人の一人としても、今回の異世界召還を実行した国王陛下と王太子、そしてあなたにお訊きしたいことがある」
「は・・・・・・何でしょうか?」
緊張した顔で神官長が姿勢を正す。
「魔物が大量発生し、危機的状況のこの国を救うため、禁止されていた異世界召還が強行された。そして無事救世主様を召喚。その際のあなた方の不手際に関しては今回は置いておきます。私がお訊ねしたいのはその先。無事救世主様のお力でこの国の危機を防げたとしましょう。さて、あなた方はその後、どうするおつもりだったのでしょう?」
「どうする、とは?」
「救世主様のお立場を、どのようにするおつもりだったのかと訊いているのです。周知の通りこの国では魔力量の大きい者こそ国の王として相応しいとされています。ということは、現状、救世主であるマナ様こそがこの国の王に相応しく、彼女を女王として望む者達が今後大勢出てくるだろうということです。・・・・・・そのことをあなた方はどうお考えだったのか、ぜひお聞かせ願いたい」
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