TOSHIの幸せな日々

TOSHI

第1話 ミステリーは安全な、本物の冒険・今、書いています

私がいつから読書が好きになったのか、はっきりとは憶えていないのですが、今でも思い出すのは、母が買ってきたアガサ・クリスティのミステリーを読んだ日の情景と、その時の自分の気持ちです。


その日は風邪をひいて学校を休みました。夜になると熱が下がり、昼間たっぷり寝たせいか、まったく眠たくありませんでした。


風邪薬のせいもあったのでしょうか。今は物置きになっている、家の中の一番小さな部屋が自室だったのですけれど、結局はまだ早い時間にここで寝ている、ただそれだけのことが、日常から切り離されたかのような、不思議な解放感と安心、そして、まるである種の冒険をしているかのような、高揚を与えてくれたのを憶えています。私はそれだけで楽しかったのです。


そんな完璧なタイミングで、私は、クリスティの『そして誰もいなくなった』を読むことができたのです。


8人の男女が孤島に招かれるのですが、招待状の差出人で、この島の主である、オーエン夫妻はいつまでたっても現れません。


皆が不安にかられる中、晩餐で、彼らの過去の罪を告発する、謎の声が響き渡ります。そして、1人、また1人と彼らは殺されていくのです。


犯人はこの中にいるのか、だったら誰なのか……。


ミステリーの傑作に酔いしれることができて、本当に幸せでした。ベッドの中で味わえた、完璧な冒険。


私が古典ミステリーを好きな理由は、安全な場所から、本物の冒険ができるからです。

優れた仏像に人知を超えた何かを感じることがあるように、つくりごとでも作者が魂を入れることができれば、それは本物なのです。


そこでは犯罪に関わる人々の苦しみや葛藤も、多くの場合、優れたトリックを彩り、優れた作品を創るためのテクニックや味つけでしかありません。

また、個人的にそういう作品が好きです。最近特に、リアルに悲しい話を聞くのが辛くなってきました。


ずっと、自分もミステリーを書けたらな……と思っていたのですが、書けなくて、諦めていました。それが今、どういうわけなのか、書きたい話がわいてきて、なかなか手ごわいですが、頑張っています。


近いうちにこちらで公開する予定です。よろしくお願いします。


※『そして誰もいなくなった』のあらすじについては、ウィキペディアを参考にしました。犯人が誰だか幸い忘れた。また読もうかな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る