第7話Jアラートの鳴り響く時(「まか不思議なこと多し(福島原発事故から)」)

 北朝鮮のミサイルが日本上空を飛来する時に発せらるJアラートを聞く機会は放送を通じてのみなり。数秒間を放送に過ぎぬが、は虫類の鳴き声のように不気味でおどおどしいアラート音に胸騒ぎを覚えたり。現地で耳にされる方々の不安はいかばかりかと思うと同情を禁じ得ず。第二次世界大戦時じドーバー海峡を越えて飛来するナチスドイツのV型ロケットの砲撃を知らせるとロンドン市民も同様な気持ちだったのではないかとも想像したり。しかし今回の北朝鮮のミサイルには原子爆弾が搭載されて飛来する恐れもあり、Jアラートが鳴っても避難しても無駄だと諦めている方も多しと想像したり。


 退職して8年も経過するが、そのアラート音の下での陸上自衛隊の行動を想像し、思わず苦笑せざる得す。30年も前のことであるが、北海道の函館空港に旧ソビエトから最新型のミグ戦闘機が飛来する事件がありし。その後、まるで流行のように陸上自衛隊が行った行動を思い出したたり。夜間も光を漏らさぬために遮光幕を窓に張り巡らす訓練を繰り返したり。さながら太平洋戦争末期の空襲に備えるがごとき行為なり。それぐらいしか打つ手はなかりし。

 Jアラートが鳴り響く時、今の陸上自衛隊は何をしているのか想像するしか出来ぬ身なれど、8年前も30年前も変わらずと想像せざるえず、もし、まことそうなれば、げに、不思議なことなりと切り捨てるほか、あらず。

 未だ、茹でカエルごとき生態は変わらずかと嘆くのみ。茹でカエルとは、嘘か誠か知らぬがカエルを水に漬けて、少しづつ熱していくと、カエルは気付かないままに茹で上がり死んでしまうと言う現象を示す言葉であり、以前から陸上自衛隊の中でも危機感を募らせる方々の囁く言葉として例えられていた。


 30年前の若かりし時は、このように絶対という言葉は存在はし得ぬと抽象的な警告をしたり。福島原発事故から先立つこと10数年前、今から15年ほど前に北朝鮮軍兵士の乗る小型潜水艇が韓国沖で座礁し、乗っていた兵士が韓国国内を韓国軍や警察と戦闘を繰り返しつつ逃避するという事件がありし時に、日本国内でこのような事件が発生した場合の対応について意見を求めたことがありし。その際には原子力発電所の警護を問題を直接訴えたり。職務上の立場からの具体的な問題提起のつもりなり。原子力発電を警護するために必要な土地の収用をいかにするかという点なり。現状の法規体系では土地の収用は防衛施設局の役割であり、迅速に対応できないと感じたる結果なり。むしろ常に犯罪捜査などで私有地に立ち入る機会の多い警察の方がこまめに動けるのではないかとも感じたり。結局は陸上自衛隊は国内で貢献する道はなきにあらざるやとも思いたり。もちろん福島原発事故が起きる前のことなり。原発テロに備えることが報道機関でも話題にになる最近はいかに。おそらく陸上自衛官は空しく空を見上げるのみにあらざるや。 

 面白きことを最近も見たり。

 朝鮮戦争の再発に際して陸上自衛隊を朝鮮半島に上陸せしめ邦人や西欧人の救出をせしむると言う計画があるがごとき訓練を報道で知りたることなり。最近の韓国内の反日感情の高まりをみるにつけ、我は韓国が陸上自衛隊の上陸を許すはずもなしと感じたる、防衛省や陸上自衛隊は真剣に計画をしている模様にて、これも、げに不思議なことと思いたることなり。


 また尖閣諸島に中国人民軍が上陸した際に備えてオスプレイや強襲揚陸艦装備に熱を上げたることも不思議なことなり。所詮、予算を確保し、組織の維持を図る組織防衛のための所業に思えたり。無駄でも多額の予算を食うことで組織維持も認められたと同じことになるという発想なり。軍隊である陸上自衛隊が行動することは、日本が中国との全面戦争に発展することも覚悟の上と覚悟があっての準備なるかとも思いたり。尖閣諸島が日本領土であると真に確信するなら国内法で動く警察や海上保安庁に行動せしめ、国内法で対応ですべきにあらざるや。必要なら海上保安庁や警察に強襲揚陸艦やオスプレイを常備し武装強化も行い対応を検討すべきであらざるや。また真剣に尖閣諸島に上陸した中国人民軍を制圧排除するつもりなら、尖閣諸島程度の狭隘な島なら陸上部隊を派遣せざるとも海軍や空軍のみで制圧可能であると発言する米国海兵隊司令官の発言も耳に届かざるや。


 陸上自衛隊ではなく、警察力の強化の必要性は幾度となく提案を繰り返したるが、中国人民解放軍は紛争国の国内に居留する中国人民への蜂起の指示すると名言しおり。この言葉も無視したるがごとき所業にも思えたり。陸上自衛隊は常日頃から中国人民の行動を把握する能力も方法も備えず。むしろ警察官の増員に増加で対応をする道を探った方が近道なりし。あるいはテロや武装蜂起を企てそうな敵性人民を収容する収容場の維持運営は陸上自衛隊が向いているやも知れね。戦前において陸軍は戦争なき平時においては捕虜収容場運営も主な任務なり。その任務は国際法規に基づくものなりせば、陸上自衛隊でも対応可能と思えたり。また中東などでの難民キャンプ運営事業にも十分な活躍の場を得ることも可能なりと思えたり。


 Jアラートの不気味な音で、面白きことや不思議なことが目立つ昨今なり。

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