エピローグ【帰還、そして動乱へ】
◇
ローザが必死に、なけなしの魔力で運転した【ランデルング】を北の門近くに
すぅすぅ――と、浅くだがしっかりと感じる
メルティナはフィルヴィーネが
目的地である宿屋【福音のマリス】は、北門に近い位置にある為大した
全員、物凄く疲れた顔をしていた。
エドガーは、サクラを
やっと帰ってこれたと、心底安心したのだ。
誰も待っていない
「……僕はサクラを部屋に連れて行くよ。サクヤは
エドガーは
ローザとフィルヴィーネは
扉を開けて、
それを確認して、たいまつ替わりをしていたローザが右手を下ろした。
「……ほれ、ロザリーム。サクヤを連れて来い……
「え、ええ。そうね……行くわよっ?」
「――あ、あぁ……すまぬ」
サクラの事が気がかりなのだろうが、サクヤもかなりの
ご
◇
「よっ……と」
ゆっくりと、サクラを二階の自室のベッドに寝かせて、タオルケットを掛けるエドガー。
「……感じない……な」
エドガーは、サクラとの契約の
そこに契約の《紋章》は無く、サクラの
「……大丈夫、だよね……サクラ」
彼女が寝ている事を確認して、エドガーは部屋を出る。
ドアは開けっ放しにしておいて、いつ何があってもいいように出ていくのだった。
一階に戻ると、サクヤがローザに包帯を巻かれていた。
「――ちょっ……ローザ、
サクヤはダルマのようになっていた。
「やふぁりほうれすふぁ……あういふぁま」
(やはりそうですか……
「……し、仕方ないでしょう……
「は、はぁ……」
エドガーは、ぐるぐる巻きのサクヤを解放し、傷だらけのサクヤを
サクラとメルティナが
肩はぱっくりと割かれ、
「……ごめんサクヤ……僕が、もう少ししっかりしていれば」
エドガーは、
【東京タワー】攻略のメンバーを決めたのはエドガーだ。
メルティナを残していたが、外にも敵がいるという事を考えていなかった。
その【東京タワー】は、あの後に姿を消した。
完全に元の荒野に戻り、残されたのは大量の骨だけ。
それを王女に報告すると同時に、西の国、【魔導帝国レダニエス】の事をどう報告するか。
考えを
「わたしは……サクラに
荒野でのやり取りの事だろう。
サクラとサクヤの空気感を何とかするために、エドガーとローザは何度か
フィルヴィーネは、戦ってまで考えを聞き出してくれた。
だが、サクヤはそのチャンスを手放したと言う。
タイミングが悪かったのは
「そんな事は……」
「――そうね」
「ちょ、ちょっと、ローザっ!」
「――うぐっっ!」
「ああ!ごめんサクヤ……!」
エドガーはローザの直球を返そうとしたが、
「い、いえ……その通りですから。サクラに、
それはきっと、サクラも同じはずだ。
「せめて、あの者と普段通りに戦えていれば……きっとサクラがあのような目にあう事は無かったのです……わたしは、未熟ですっ」
(あの者?……外にいた敵の事、かな?……いや、それは後で聞こう)
サクヤは
エドガーもローザも何も言わない。言えない。
しかし、一人グサグサ物言う者がいた。
「――当然だ。お
フィルヴィーネだった。メルティナを寝かせて来て、リザを胸元に
サクラの部屋とメルティナの部屋は隣だが、エドガーより遅れて来たのは、自室で何かしてきたからか。
というか、リザの顔色が
「本音を
クックックと笑いながら、休憩所に入って来るフィルヴィーネ。
「
「何かって何よ?」
「それは知らぬ。自分自身で探せ……クックック……アーッハッハッハ!」
高笑いしながら、フィルヴィーネは食堂に向かっていった。
後を追うように、ローザも付いていく。
お腹が空いているのだろう。
「……
「あはは……そうだね。
「……感謝いたします。
「うん。いいよ、行っても」
サクラの所に。
「――はい」
ゆっくりと
◇
「……痛い」
「……ならそんな顔してんじゃねぇ!こっちが
隠れていたエリウス達三人を迎えに来たのは、リューネだった。
その後は“魔道具”【天馬の
「リュ、リューネ……申し訳なかったわ」
「いえ……エリウス様が
「そりゃそうだな。コイツが勝手に引きずってんだけだろ……――っで!!痛ってーな!」
エリウスに【魔剣】の
「
リューネは、スノードロップに【天馬の
スノードロップは、どうやら
それを聞いたエリウスは、
(……シュルツ・アトラクシア
シュルツのもとにいるのは、三人の異世界人だ。
“天使”スノードロップと、ノインと言う幼女。そしてもう一人の女がいる。
スノードロップ達は、自分達から
それはつまり、エリウスがいつでも“
しかし、魔導帝国の
国外では、【送還師】の
しかし国内では、
更には、“
それは、
初めから、今回の
協力者とは言え、異世界の
◇
「……サクラ。ごめんなさいね……わたしは、お前に
普段の変?な
“愚者”を演じた【忍者】の、本当の
本当は、横文字だってスラスラ言える。
記憶力だって、正直ローザよりいい自信がある。
話しだって、今まで聞いていない
「……サクラ、お前はサクラだ……サクラでいいんだ……何にもならなくていい、そのままでいて
「……ん……ぅぅ、ん」
その黒き【魔眼】を見開いて、サクヤは
「――サクラっ!!」
うっすらと目を開け、サクヤを
「……ぁ……ぇ……」
「大丈夫、問題ない!お前は大丈夫だ……サクラっ!!」
喜びと安心で、胸を
しかし、まだ
「……
「――サ、ク……ラ……?」
そこに、
~
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