166話【夜戦】
◇
夜空に咲く、赤色の
高笑いを浮かべるフィルヴィーネに向かって、ローザが
フィルヴィーネが
巨大な物から小さい物まで、どこかのテーマパークにあるゴムボールだらけのアトラクションのようだと、
“魔王”フィルヴィーネも、自身の周りに浮く赤い球体を
「――なんだなんだっ?先程から、全く攻撃にメリハリがないぞっ!」
「うるさいわねっ!だったら降りてきなさいよっ!」
ローザは飛べない。
短時間ならば炎の魔力で上昇する事が出来るが、それだけだ。
「クックック!それもいいがなっ、それでは
「そんな理由でっ……!」
フィルヴィーネを楽しませるために《魔法》を使っているのではない。
あくまでも、ローザが壁を
それにそもそも、今は《魔法》を使っていない。
ローザは右手の《石》から炎を生み出して、それをドンドン大きく
やがてそれは、小さい太陽の様な真っ赤な炎の
「【
その大きな炎弾は、今までの炎弾とはサイズも
その割にローザの魔力
「ほほぅ。《魔法》ではないな、これも技の一つか……だが、つまらぬ!」
フィルヴィーネは更に上空へと上昇し、迎え撃とうと下を見る。
今にも
フィルヴィーネは、このローザの攻撃を「
魔力の
事実魔力の
魔力の
その心臓が意味を無くせば、魔力による攻撃も全くの
フィルヴィーネはその魔力の
それにも理由があり。本来ならば魔力による攻撃(魔法も同じ)は、この魔力の
「――っ!!」
だが
フィルヴィーネの魔光は、ローザの【
しかし、爆炎の球体は
やがてその無数の火球は、フィルヴィーネを取り囲むように
「……これはっ……!」
ローザは、初めから無意味な攻撃などしていなかった。
フィルヴィーネが「
「
地面からフィルヴィーネを見上げるローザの顔は、してやったりと、したり顔を浮かべている。
これにはフィルヴィーネも不意打ちだったのか、顔を引きつらせていた。
「……まさか!……――ここまでを
ワザと負けた。
今フィルヴィーネを
キチンと、最後に勝てるように。
計算し、
魔力の
敵同士ではない、殺し合いではない戦いでなければ使えぬ戦法。
《石》はともかく、ローザは【マジック・アンプル】で魔力を回復させている。
ならば
「“魔族”を
それで
「――貴っ様ぁ!!」
声を
それはローザも同じで、戦いを
「
《魔法》を放った一度目の戦いを、油断を
戦いを
「
「ちぃっ!この量はマズい!……
フィルヴィーネが破裂させた【
一見ただの消炎、しかしそれは、《
「おのれぇぇ【
ローザは【
魔力の
「――これで私のストレスも、少しは晴れそうだわっ!!」
フィルヴィーネは、急いで周りに浮かぶ炎弾を
「数が多すぎであろうがっ!」
右に左に、上に下にと、
「……どうせ死なないのだろうから、本気でいかせて貰うわっ……
「ちょっ!待っ――」
――ドォォォン!!と、一発爆発すると。
――ドドドドドドドドド!!と
まるで花火のように咲く何発もの炎。
ローザによる《
――ドンっ!!――ドドンっ!!
耳を
「がっ――がはっ!――ぐぅ……おっ、ぐはっっ!!」
何度も
どうやらかなりのダメージを与えているようだ。
それでも、フィルヴィーネの身体は地面に落ちることなく、爆発の反動で上に上にと上がっていく。全てローザの計算通りに。
そして最上部に光る、
その中に、フィルヴィーネは吸い込まれる。
それは、フィルヴィーネが一番初めに
ローザが
「……こ、れは……
フィルヴィーネが目にしたのは、巨大な炎の球体の中に無数に
その
星空など目にないくらい明るくなった荒野の上空を、ローザは見上げる。
そして、最大級に大きかった炎の
――大爆発を起こした。
◇
【
「……すっご……」
「これは
「ええぇ……」
あの爆発がただの花火なら、どれだけよかった事か。
サクラはそれが分かっていた。
「
どんな理由があるにせよ、ローザのフィルヴィーネに対する感情は
「こりゃ……話をしないとダメだなぁ……はぁ~」
何があるにせよ、一度きっぱりと話を付ける必要がある。
自分の
それが、ローザやフィルヴィーネの為にもなると信じて、サクラは会議を行う覚悟を決めた。
ため息を
――フィルヴィーネだ。多分。
「――うわ!ぅぅぅぅぅ……」
ほぼ
身体は
サクラは一瞬見ただけで目を
「これを……ローザ殿は『死なない』と言っていたのか……?」
「死んだらエド君になんて言うのよっ!……ローザさんがエド君に嫌われることするわけないでしょっ!?」
「いや、でも……これだぞ?」
「――だああっ!見せんなぁ!」
目元を手で隠して、制服の少女は顔を
「……あ。落ちた」
ドシャッ――!!と、何かが落ちた音と
「【忍者】ぁぁっ!!」
【スマホ】のリンクを切ればいいのだが、気になるのだろうサクラはそれをしなかった。
怖いもの見たさもあるのかもしれないが。
「おお~。
「あんた言いたいだけでしょ!……って、動くのっ!?」
覚えた現代用語は使わねば。
それよりも、あの状態でも動いていると言うフィルヴィーネに、
「……それが、“魔王”と言うもの……なのではないか?」
「ええぇ……そんな再生怪獣みたいな」と、サクラはガックリと肩を落としたのだった。
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