第2話
店が静まった
「金出せ。」
その男の据わった目。透き通っていて、とても綺麗だった。ただ褪めていただけかもしれない。でも、綺麗だった。
向けられた銃。銃口から放たれた小さな光で、私は既に心を撃たれていたのかもしれない。小さな、光で。
「それ、本物ですか?」
「早く出せ。」
「撃ってください。撃てばお金盗めますよ。裏に金庫もあります。」
「……。」
「あ、でもちゃんと殺してくださいね。中途半端は嫌なんで。」
やばい。客が入ってくる。
「私裏に逃げるので、襲う振りしてついてきてください。裏から出られます。」
ついてきてくれた。裏口の前。
「お前…。」
「早く逃げてください。」
「一緒に逃げるか?」
こんな言葉を待っていたのだろうか。透き通る目に、吸い込まれる。
私はその人の腕を掴み、裏口の扉を開けた。外に出る。腕を掴み返され、軽自動車。車が走り出す。
どうでもいいんだけど、なんか聞いてみた。
「どこ行くんですか?」
「知らねぇよ。」
首の左側。ツバメのタトゥー。
「どこか行きたい所、あるのかよ。」
答えに迷った。考えた。何て言ったら、伝わるかな。
「どこにも行きたくない。どこにもいたくない。」
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